この世をば わが世とぞ思ふ 望月の欠けたることも なしと思へば

藤原道長

 

 

「この世界は私のためのものであるように思える。満月に欠ける部分がないように、私は完全に満ち足りているから」という有名な歌。詠んだのは、藤原道長。

 

権大納言の地位にあった長兄道隆や次兄道兼が相次いで没すると、その地位を道隆の子の伊周と争って、内覧、右大臣、氏長者となって政権の首座につきます。伊周の失脚により左大臣に就任。

 

外孫の後一条天皇の践祚とともに摂政となりますが、これを嫡子頼通に譲るものの、実権は自分で握り、藤原氏摂関政治の最盛期を築きました。

 

「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることのなしと思へば」という歌は、娘の威子が中宮(皇后)になった夜の宴席で、酔いにまかせて歌ったものだとされています。

 

 

この歌は、藤原実資の日記『小右記』の1018(寛仁2)年10月16日の条に記されています。。

 

今年2018年の旧暦10月16日 は、道長が「この世をば」の歌を詠んでから、ちょうど千年になります。現代の暦でいえば、2018年11月25日にあたるわけです。ですが、残念ながらこの日は満月ではありません。

 

 

「望月の欠けたることのなし」が重要のなので、25日前後の満月で考えると、22日の月齢が14.5、23日の月齢が15.5。月齢は正午時点での満ち欠けで計算するので、22日から23日に替わる直前(22日深夜)に月齢15.0を迎え、ちょうど満月に。ちなみに、22日の月の南中は23時14分。

 

22日の23時14分。「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることのなしと思へば」と、ちょうど1000年前に口ずさんだ人物になりきって、同じように口ずさむのもいいだろう。

 

 

 

 

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【参考】余は如何かにして『御堂関白記』研究者となりし乎(倉本一宏)