きらかに下心がある場合もそうでない場合も、男子って、ことあるごとに女子のカラダに触ってこようとすると思いませんか? 「もう男子はみんな、スケベなんだから!」と女子のみなさんは思うでしょう。ですが、そこにはそれなりの心理的な理由が隠されているんです。

 

 

 

 

 

 

1:相手に触れたい心理的背景

明らかに下心がある場合は当然として、そうでなくても、好意をもっている人に触れたいというのは自然な心理です。

(1)愛着行動として

“愛着行動”という言葉があります。これは“アタッチメント”と呼んだりもしますが、これは自分と他者を情緒的に結びつけるための行動という意味です。一般的には、弱い存在である赤ちゃんが、周囲の大人からの保護を確保するため、親密さを表現しようとする行動のことを指します。たとえば、母親がどこかに行こうとしたら、離れたくないとしがみついたりしますよね。これが愛着行動です。

 

愛着行動は、必ずしも乳幼児に限ったものではなく、生涯を通じて行われるとされています。成人すると、“ロマンティック・アタッチメント”などと呼ばれ、愛着の対象が、母親などから恋人へと移り変わります。

(2)ボディタッチと恋愛

触れるというのは、いわゆるボディタッチですよね。このボディタッチについては、恋愛心理学では「嫉妬」や「浮気」をテーマにした研究で扱われたり、コミュニケーションの側面から扱われることもあります。

 

例えば、恋愛関係においては、性的関係(セックス)に至る前にも、さまざまな身体的接触(ボディタッチ)が行われます。身体的接触は、「スキンシップ」などと呼ばれ、安心感や連帯感を生じさせるなど、重要なはたらきがあります。このスキンシップも、愛着行動のひとつです。

 

また、そんな身体的接触は、大きく分けて「遊び型」と「甘え型」に分類できます。

「遊び型」とは、「筋肉あるよね」などと言って相手の腕を触る、怒るふりをして相手をポンっと叩く、腕相撲や握手をするなど、コミュニケーションとしてのさりげない接触です。

 

「甘え型」とは、落ち込んだことを伝えて頭をなでてもらう、肩こりの話をして肩を揉んでもらう、酔ったふりをして手を引いてもらうなど、同情を誘っての接触です。

男女とも「遊び型」の接触が多く、ここに大きな男女差はないと言われています。

 

これがデートの場面になると、もう少し分類が増え、デート場面での接触行動は「甘え型」「守り型」「性的接触型」の3つに分類できます。

 

「甘え型」とは、拗ねて相手の手や服を引っ張る、冗談に怒ったふりをして叩く、寒いと言って相手を突っつくなど、相手の同情や養護行動を引き出そうとする接触です。

 

一方、「守り型」とは、満員電車で相手を守ろうと支える、危険なときに抱き寄せる、観覧車などの乗り物の乗降で手を貸すなど、危険に際して相手を守ったり、安全な方向に導いたりする接触です。

 

そして「性的接触型」とは、キスする、肩を抱く、手をつなぐなどの接触です。つまり、単に相手に触れると言っても、いろいろな種類や意味合いがあるんです。

2:好きな人に触れたいという男性心理

「身体接触」は、セックスを期待したり、性的な興奮を満足させるために行われるのも事実です。ですが、基本的にはスキンシップ。なので、好意があることが前提になってきます。つまり、男子だけに限らず、女子も同じように、「好きだから相手に触れたい」と思うのは自然な心理なんです。

 

ただし問題は、触れる場所ですよね。手を握るとかだったらアリですが、たとえ好意があったとしても、いきなり腰に手を回してきたり、お尻なんか触られたら、百年の恋も冷めてしまうかもしれません。

3:好きだから触れたい……触れられる場所によって込められた意味は違う?

「遊び型」と「甘え型」、もしくは「甘え型」、「守り型」、「性的接触型」に分類できる身体接触ですが、残念ながら触る場所、触られる場所によってその意味が異なるか、という研究は、現在のところは見当たりません。

 

しかしながら、明治大学心理学部の「対人関係における身体接触の位置づけ」という研究では、「接触する相手のタイプ」と「接触する身体部位」の関係性が明らかにされています。それによると、以下のように分類されるそうです。

 

手、下腕、上腕、肩→家族や友人という親密な間柄で触る(触られる)部分顔や頭→家族や恋人で触る(触られる)部分首、胸、腹、腰、股→恋人のみで触る(触られる)部分この研究から推測するとすれば、首や胸、お腹、または腰などに男子がボディタッチをしてきた場合、恋人のような関係だと思っているか、恋人のような関係になりたいと思っているかのいずれかかもしれません。

 

もちろん、「胸」「股」あたりが入っているところから、単にセックスを期待したり、性的な興奮を満足させるために触ってきているという場合も否定できません。

4:まとめ

相手に触れるという行動は、お互いに親密な関係であるという共通の理解がないと、セクシャル・ハラスメントでしかありません。確認をするまでもなく、お互いが親密な関係だと感じていればいいのですが、そうでなければ、正直にどういうつもりなのかを聞いたほうが良いかもしれません。

 

そうではないと、相手だけが親密な関係だと思い込んで、より激しい身体接触をしてくる可能性があるからです。触られてイヤなときは、はっきりとイヤだと言いましょうね。