2009年度から2012年度まで参加した国際日本文化研究センター(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構)の共同研究会「文明と身体」(代表:牛村圭)の成果報告書が、『文明と身体』と題して、臨川書店より10月29日に発売となりました。

 

 

この研究会の目的は、下記の通りです。

 

野蛮から文明へといたる人類の歴史の流れのなかで、人の自らの身体へのまなざしは如何なる変貌を遂げてきたのだろうか。古代において既に高度な文明を有していた地中海地域、あるいは独自の文明を発達させた中南米において、身体はどのような解釈を受けていたか。

 

また、文明化の過程が遅れた地域においては、進んだ異文化異文明という他者との出会いの中で、それまでの身体観に如何様な変化が生じたのか。他方、進んだ他者として臨んだ者にも異文化から受けた衝撃はあったのだろうか。

 

本共同研究は、古今東西の身体へのまなざしを考えるのに相応しい事例を、文明という文脈のもとでまず考察を加え、そしてそのような歴史上の諸事例を参考にしつつ、最終的には近代日本の文明観を、身体を一つの切り口にして再検討することを目標とする。

 

 

この報告書の5章を担当しています。ぜひお近くの書店などでお買い求めください。

 

 

■目次

Ⅰ 古をかえりみる

第1章 暴露の愉悦と誤認の恐怖―「病草紙」における病者との距離(永井久美子)

第2章 古代ローマ文明における身体―葬送儀礼から看取できる身体観の変遷(小堀馨子)

 

Ⅱ 近代に向けて、あるいは対峙して

第3章 機械論と蘭学者の身体観(フレデリック・クレインス)

第4章 纏足の再把握―身体論としての視座を求めて(古田島洋介)

第5章 腹がでていてなにが悪い(平松隆円)

第6章 文明、身体、そしてオリンピック―大森兵蔵『オリンピック式 陸上運動競技法』の周辺(牛村圭)

第7章 清潔な身体―水にまつわる文化的一考察(福田眞人)

 

Ⅲ 文学の視座から

第8章 喜歌劇『ミカド』と日本人の身体(岩崎徹)

第9章 身体の苦しみから魂の救いへ―遠藤周作の『海と毒薬』と『悲しみの歌』(郭南燕)

第10章 身体のない他者・身体をもつ他者―オーストラリア文学における日本人描写の変遷(加藤めぐみ)

 

 

 

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