作家・上坂冬子の「天皇を守ったアメリカ人」(『中央公論』1986 年 5 月号所収)で一躍有名となったヴォーリズ。終戦後、天皇制の維持を願う近衛文麿・元首相と GHQ 最高司令官マッカーサー との会談実現に向けてヴォーリズが奔走したといわれています。

 

じつは、近衛とヴォーリズを結びつけたのは大蔵官僚の井川忠雄で、終戦直後の1945年9月7日、井川は親友・近衛文麿の依頼を受けて、軽井沢で避難生活を送っていたヴォーリズを訪ね、GHQ 最高司令官マッカーサーと近衛の面談実現に向けての助力を要請しました。

 

井川はNHK「あさがきた」の主人公広岡浅子が目をかけていた人物。広岡浅子はヴォーリズにとって、妻の兄の姑。

 

そして、ヴォーリズとマッカーサーを結んだのは、マッカーサーの側近であったサミュエル・バートレット・ジュニア。お父さんのサミュエル・バートレットは同志社大学で英語を教えていた経験があり、ヴォーリズと親交があったんです。

 

終戦後、昭和天皇が守られたのも、天皇制が維持されたのも、ヴォーリズを中心とする人間関係の賜かもしれませんね。

 

 

ヴォーリズやそのあたりの詳しい話は…「メレル・ヴォーリズと一柳満喜子」から。