ひとを自分の意のままに操れたら……そんなことを考えたことがあるひとも少なくないでしょう。たとえば、彼があなたの好きなものを買ってくれたり、家事の手伝いをイヤな顔せずにやってくれたり。ですが、それには催眠術や超能力がなければ無理と思っていませんか?

 

いえいえ、そんなことはありません。なにかをお願いするときに、たった一言添えるだけで、ひとはあなたの思い通りに行動してくれるんです。一体それは、どういうことなのか。油尾聡子の研究(「一般的信頼と感謝メッセージに対する反応」)を参考に、紹介します。

1.ひとをおもい通りに操る魔法の言葉

油尾聡子は研究のなかで、ゴミ箱に「空き缶のみを入れていただきありがとうございます」というメッセージと、「空き缶のみを入れてください」というメッセージをつけた場合で、ティッシュを捨てようとしているひとの行動が、どう変化するかを実験で調べました。

 

その結果、「空き缶のみを入れていただきありがとうございます」というメッセージがついたゴミ箱では、ティッシュを捨てるひとが少なくなるということがあきらかになったんです。

2.心理学的にも説明ができる「ありがとう」の秘密

この実験の結果は、「好意の返報性」という用語で、心理学的にも説明できます。というのも、ひとは「ありがとう」といった感謝的なメッセージを示されると、感謝の言葉を好意として受け取り、その感謝にお返しをしようします。そのため、「ありがとう」と先に言われることで、「空き缶のみを入れる」という行動をとってしまい、ティッシュを捨てないという行動につながったんです。

3.アメリカのテレビドラマにも登場するテクニック

じつは、この「ありがとう」の心理テクニック、アメリカのテレビドラマにも登場するんです。テレビ東京やFOXチャンネル、Dlifeで放映された『クローザー(原題:The Closer)』。

 

ドラマに登場するロス市警特捜班班長のブレンダ・ジョンソンの口癖が「Thank you(ありがとう)」なのです。CIA(アメリカ中央情報局)で容疑者への尋問技術に関する訓練を受けている主人公が、「ありがとう」と口にする。それは、まさにその感謝の言葉で、相手を自分の意のままに操れることの証になりますよね。

 

まとめ

たった、ひとこと「ありがとう」と添えるだけで、彼はあなたの意のままに行動してしまうというわけなんです。まぁ、なにかをお願いされたときに「ありがとう」といわれて、嫌な気持ちになるひとなんかいませんよね。だったら、結果にかかわらず、「ありがとう」って言っておいたほうが、いいと思いますよ。