歴史的に化粧は 医療行為 宗教儀礼 性の強調 所属集団の認証として始まったとされる

つまり 化粧には心身の健康を図る目的や自己表示などの意味があったと考えられる

では 今日における化粧にはどのような意味があるのか

松井らは 化粧が変身願望 心身の充足 ストレス解消 創造的楽しみなどの対自的な「化粧行為自体の満足感」や外見的欠陥の補償 周囲への同調 期待への対応 社会的役割の適合などの対他的な「対人的効用」という2つの意味により行われるとしている

さらに笹山・永松は,化粧に対する意識を分析し 化粧は自分にとって必需品であるといった「必需品としての化粧」 改まった席にでるときはきちんとした化粧をしないとおかしいといった「身だしなみとしての化粧」 他人に見劣りしたくないといった「他人に見せるための化粧」という3因子を明らかにしている

このことから 化粧には自己の改善維持機能や対人相互作用促進だけでなく 必需品や身だしなみという習慣としての意味もあると考えられる

しかしながらこれらの研究は女性の化粧意識に対する知見であり 近年 化粧を行う男性や化粧を行わない女性が増えているなかで 男性の化粧意識と化粧行動との関連に関する研究は見当たらない


そこで 男女大学生がどのような意識を持って実際の化粧行動を行っているかを明らかにするため 男女大学生を対象に彼らの化粧意識の構造を解明し それらが実際の化粧行動といかに関連するかについて検討を行う

【原著】
平松隆円・牛田聡子 2004 化粧に関する研究 (第3報) -大学生の化粧意識の構造解明と化粧行動との関連性- 繊維製品消費科学 社団法人日本繊維製品消費科学会 第45巻 11月号 pp.53-62