かわかみりゅうのブログ -238ページ目

手をつないだのは・・・その2

幼い頃、母と買い物に行くたび
迷子にならないよう
いつも手をつないでいた話は書きましたが
そのせいか、わたしは手をつないで歩くクセがつきました。

さすがに男同士では無いですが
恋人や子どもとは手をつながないと
不安になるのです。

20歳を過ぎた頃
初めて恋人と呼べる人が出来ました。

その人とやはり手をつないで
歩いていた時のことです。

人ごみにまぎれて手が離れてしまいました。

先に歩いていたわたしは
後ろを見ないまま手を伸ばし
恋人の手を握りました。

ぐにゃ・・・

恋人の可愛い手とは全く違う
ぶよぶよした手の感触がありました。

あっ!!!

後ろを振り返ったわたしは
あまりの驚きに思わず息をのみました!

わたしがつないだ手の先は
ハゲ上がった小太りのオジさんだったのです。

オジさんは予期しなかった出来事に
ほおを赤く染めていました。

!!!

わたしはあわてて手を離し
お詫びの言葉もそこそこに
その場を足早に離れました。

人ごみに遠ざかるオジさんの顔が
ときどきこっちを見ているのが分かりました。

あの時・・・

あのオジさんと
恋がめばえなくて
ホントに良かった!!!

くにやぶれてさんがあり・・・

きょうは打ち合わせで少し遠くの町へ遠征・・・

きょうも素敵な出会いがありましたが
そのお話はまたの機会に・・・

で、帰りの私鉄が人身事故で
ダイヤが大幅に乱れていました。

春先は人身事故が多いですね・・・

果たして単なる事故でしょうか・・・

それとも・・・

ダイヤが乱れているので
皆さん帰りの予定が狂ったみたいで
車内では学生さんや仕事帰りの方々が
色んなお話をしていました。

中でもひときわ目立ったのが
3歳くらいの男の子の声!

「ママ!ママ!
かえりがおそくなっちゃうよ!!!
もうほんと、どうするの!
おそいっていわれちゃうよ!」

かん高い声で母をなじるように言う言葉が
少し気になりました。

「もうどうするの!
ほんとにおくれちゃうよ!」

怒ったような子どもの声が車内に響きます。

「そういう言い方は良くないぞ」
わたしは心の中で、子どもをしかっていました。

と、とつぜんその子が大きな声でこう言ったのです。

「くにやぶれてさんがあり!・・・」

そう、あの中国の詩人・杜甫の名文
「國破山河在(国破れて山河あり)」を
子どもが唱えたのです。

多分テレビでおぼえたのでしょうが・・・

それまで、少し聞き分けのないお子さま
(はっきり言うと うるさいガキ!)と
思っていたのですが、その一言で
「ムムッ!こやつ、できるな!」と
見直した、単純なわたしでした!

「ママ!
くにぃやぶれて さんがあり だよ!
ママ!」

手をつないだのは・・・

きのうは私が生まれた北九州市のことを書きましたが
もうひとつ思い出したことがあります。

当時の北九州市は活気にあふれ
わたしの家族が住んでいた戸畑区の商店街
(昔は市場と呼んでいました)は
毎日夕方になると買い物をする主婦で
まるで年末のアメ横みたいに混雑していました。

私は母と買い物に行くのが好きでした。
母の機嫌が良ければ、何かしらの駄菓子を
買ってもらえるからです。
でも今考えると、駄菓子を買ってもらえる日は
母の機嫌が良いのではなく
たぶん給料が出た直後だったのだろうと思います。

市場は混雑しているので
わたしと母は、いつも手をつないでいました。
そうしないと人混みにまぎれて
迷子になってしまうからです。

事実、それまでにも市場で
迷子になったことは何度もありました。

その日、市場でいつものように
手をつないで買い物をしていました。
が、わたしは駄菓子屋の前で母の手をふりほどき
立ち止まりました。

アメ玉かシャボン玉が欲しくて
母にねだったのでしょう。

でも母は買ってくれず
わたしをせかしました。

わたしは「買って~」といいながら
顔は駄菓子屋の方へ向けたまま
手だけを母の方へ伸ばしました。

母はわたしの手をむんずとつかむと
ぐいぐい引っぱって歩き出しました。
わたしも何か買ってもらおうと
手を強く握りって引っぱり返しました。

そして「ねぇ~!買って!」と
大きな声を出しながら母の方を向くと
母も「買わない!」と言いながら
こっちを見ました。

お互い顔を見合わせて
ビックリ!!!

わたしが手をつないでいたのは
知らないおばさんでした。

そのおばさんも、手をつないだのが
我が子でないのに驚いていました。

当時、買い物に来ていた親子は
みんな手をつないでいたのです。

そのおばさんの子も
駄菓子屋で立ち止まったのでしょう。

お互いに顔を合わさず
手を伸ばして握り合うことを
あちこちの親子がやっていたのでしょう。

「隆!」

別の場所からわたしの名を呼ぶ母と
あわてて手を離した後
自分の子の姿を探すおばさんの
二人のうろたえた顔を
今でも想い出します・・・