新幹線の乗車時刻には20分ほど余裕があった。
「暇だな」と人に聞こえない声で俺は言った。
携帯を取り出し、二人の親友にメールした。旅に行く事を言ってなかったのと暇つぶしに。
あと、京都で会う女の子にもメールした「土産欲しい?」
その20分間にはメールは来なかった。乗車直前に「肉まん!」と、女の子からメールが届く。
「残念!もう遅い」俺はなにも買っていなかった。
駅のホームで弁当を買うのも諦めたくなるほど土産・弁当屋が混んでいたからだ。
電車に乗り、席に座る。タバコを吸える喫煙席だ。
左横にはおっさんその奥はサラリーマン。前は孫娘におじいさん、おばあさん。右横には少年サンデーを何度も読み返す少年。右前は乗車してすぐ弁当にがっつき、ビールを美味そうに飲むおっさん、左後ろはカップルがいた。俺の席からの視界はこんなもんだった。2時間この空間にいた。
車内ではたまにメールして主に本を読んでいた。その時読んでいたのは「村上春樹」の『羊をめぐる冒険(下)』


京都駅に着き、降りてみると、「一人」という意識が強くなった。
「これから5日間一人かぁ~」と思いながらホテルのある駅に向かって電車に乗った。
丸太町に着き、ホテルにチェックインを済まし、部屋に入ったらテレビを点けた。甲子園がやっていた。
ホテルの部屋は俺一人なのにベットが二つのツインの部屋だった。よく掃除の手が届いている清潔な部屋だった。
ホテルの自販機でコーラを買って部屋でテレビを観ながら飲んだ。


しばらくして外に出て歩いた。まっすぐ行くと川に出るのだけを理解し、それだけで歩いた。
20分ほど歩くと「鴨川」に着いた。東京・神奈川の都心では見る事の出来ない川だった。
川を右に行き、川を下る方向に歩いて行った。「どこで引き返そうか」と考えつつ歩いていった。
この時、手には地図を持っていなかった。帰れなくなる恐れがあった。
だが、途中から「立ち止まり、引き返す事はない」と思い始めた。汗が出てきた。家からくすねてきた扇子を鞄から出した。


「扇子とは風流だな」サングラスのおじさんが声を掛けてきた。
そのおじさんとはしばらく話をした。その後の流れはこないだの記事の通りだ。


その後、風俗街の路地の地下に店を見つけた。中に入るとU字のカウンター席だけの店だった。
U字の中に店の人。U字の左側に入り口があり、入り口を入ってすぐに仕事終わりのおじさん二人がビールを飲んで反対側に少し年がいった感じの夜の女といった感じの女性が座っていた。
俺はU字の凸部分に座った。
サングラスのおじさんに勧められたラム丼を頼んだ。
出来上がるのを待っていると入り口が開き、さっきのサングラスのおじさんが現れた。
入り口近くのおじさん二人と仲よさげに少し話しこっちにきた。俺は目を合わせ頭を下げた。
サングラスのおじさんは女性の方に足を運んだ。
ラム丼が出来上がった。受け取って食べ始めると美味しかった。
店は初めからいたおじさん二人が談笑し、サングラスのおじさんが女性に武勇伝を語るといった感じだった。
たまにおじさん三人で話していたりした。
食べ終わった後に生ビールを頼んで飲んだ。特に時間も遅くなかったし、ここにいても構わない雰囲気だったからだ。
だが、聞こえてくるおじさん達の会話を聞くくらいしかする事がなかったので耳を傾けた。
サングラスのおじさんはカタギではなかったようだった。
「一人バラせば・・・」「警官を・・・」「・・・顎砕いた」など話していた。聞いてた女性はたまに笑い、相槌を打ちながら話を聞いていた。
ビールを飲み終わると店を出た。そして丸太町に向かい歩いて帰った。


部屋で汗を流し、本の続きを読み、この日は12時に寝た。