Vocalのジョー・ストラマーがニカラグアの革命政権『サンディニスタ』に触発されて生まれたこの作品は、クラッシュにとって4枚目のアルバム。空中分解してしまったピストルズなきあと、このクラッシュがパンク少年のアイドルだった。前作『London Calling』がとてもよく出来たR&Rアルバムだったので、その延長線上を期待したファンが多かった。しかし、この作品は、レゲエっぽいFunkyな音に乗ったジョーのへたくそなRAPではじまる。1曲目だけで、それまでのFANを失望させるに十分だった。メディアでは好意的な評価が多かったにも関わらず、僕を含め、それまでのクラッシュのファンが絶賛することはなかったように思う。
今聞くと、レゲエやJazzなど黒人音楽の影響を随所に感じさせるこのアルバムの何曲かは、今のクラブでかかっても全然違和感のないくらい、時代を超えた普遍性を持つものだと思う。
この頃のジョーは、左翼的な言い草が多く、日本のパンクロッカーや通のロックファンからの評判はあまりよくない。しかし、実はそんなことは何の問題にもならないくらい、このアルバムの彼の歌には説得力がある。70歳のブルーズシンガーのような枯れ方なのだ。中でも『レベルワルツ』という短いワルツ風の曲は、他のどのパンクバンドも獲得できなった美しさを感じさせる。
この作品を頂点に、その後クラッシュは少しずつ瓦解していく。もし、ジョーが、クラッシュをストーンズのようなバンドにしようと思えばなれたのかもしれない。それを潔しとしなかったジョーの生き方は不器用で損だと思う。このアルバムを聞くたびに、作品の素晴らしさと裏腹に、くやしさのようなものが僕の心に浮きあがってくるのは、それが理由なんだろうか?
聞くたびに深みにはまっていくような、とても素晴らしいアルバムだ。
※ジョー・ストラマー 2002年12月22日没
