hikki


この作品がシングルで発売されたのは、イラク戦争が勃発して間もない頃だったと記憶している。それまでのダントツに歌のうまい女の子という印象から、はっきりとしたメッセージを持ったロックシンガーに突然変貌を遂げたかのような歌のリアリティに、思わずシングルCDを買った。

今、聞いてもこの曲は明らかにイラク戦争を起こしたアメリカへの追悼歌だと思う。わかる範囲で彼女がそのことをメディアで語ったことはない。しかし、よく聞いてみればcolorsが人種を示唆している言葉であること、『今の私はあなたの知らない色』と括られる一連の言葉が、ラブソングの形を取りながら、アメリカへの失望感を表現したものであることはすぐに分かる。

彼女は、BECKやプリンスとは違う形でアメリカを愛しているのだろう。様々な人種が暮らすからこそ生まれる様々な人間や生活や文化。POP・MUSICは、その影響を一番ストレートに受けやすい。アメリカで暮らしたことのある彼女なら、アメリカの生み出す文化を愛して当然なのだろう。この歌が、よくある外からのイラク戦争批判に終わっていないのも、彼女がアメリカを愛しているからなのだと思う。

僕はHikkiの熱心なファンではない。しかし、この歌の持つリアリティは、最近の他の日本人のアーティストには感じられない種類のもののような気がする。インディーズからではなく超メジャーな彼女からこの歌が生まれたことに、今も変に感動している。