Lennon;
ところで治のほうはどうなの?女と何回も死にかけて、結局自分だけ生き残ったって聞いてるけど…。治にとって女って何?治こそ女に母を求めてるんじゃあ?

治;
…。随分とストレートな質問ですね。仰るとおり、私は女と一緒に死にかけたことがあるし、そして…私だけが生き残りました。しかし、女性に母を求めている訳ではない。私はただ愛を信じられなくて、何度も試しているのです。いや、こういう言い方じゃ伝わらないかな。私は愛が怖いのです。自分勝手に人を愛したり、極端な場合、愛の為に死んでしまう人が怖いのです。初めてお話しましょう。私には戦争も怖かった。兵士を死に追いやったお国への愛が、私には怖かった。それだけなのです。

Lennon;
私のようにヨウコとの愛を人前で歌うのは許せない!と…。

治;
いや…。理解できない。

Lennon;
話を変えましょう。愛すること、愛されることがうまく行かない時、人は戦争をするし、憎みあうのでは???

治;
そういう言い方もできます。貴方の歌で言えば『IMAGINE』は好きです。国境や人種、宗教があるから、戦争はするのだ!そう言ったものが全て取っ払われた世界が理想なのです。

Lennon;
それを実現する為に、愛が必要だと思いませんか?

治;
いや、愛だけでは、愛に注目し期待するやりかたでは無理だと思う。貴方の歌を聞いていると、愛は何か万能のようなものに思っているような気がする。貴方と奥さんとの愛だって、それは十分なお金と名声を手に入れている人の愛であって前提が違うのです。私のような貧乏な小説家や、今日のご飯のおかずを買う時に、牛肉を諦めて鶏肉を買うような普通の庶民の立場からすると。

Lennon;
お金や名声を手に入れても、それなりに不自由はあります。結果として、ヨウコと私は愛し合っていますが、それは結果であって目的ではない。現実のヨウコと現実のジョンレノンが愛し合っているだけです。そこに庶民との愛の違いはない!

治;
明日の食い物を心配するような生活を強いられている庶民には、貴方の意見は決して伝わらないでしょう。だから貴方は歌うのかもしれない!?私が言いたいのは、特別な愛を美化するな!と、ただそれだけです!