その後の僕は、就活した8社の内1社だけに受かり、偉大なるパーソナルコンピュータの営業マンとして本格的に社会復帰した。人見知りで内気、気難しい僕が営業マンとしてやっていけるなんて誰が想像しただろう。僕でさえ想像できない世界だった。
市内のその会社で5年働いた後、僕は結婚を機にあるソフトメーカーの大阪支社に転職する事になった。バンドマンを諦めた時に感じた、どんどん坂を転げ落ちていく感覚が、今度は強力なエンジンを積んだ耕耘機で坂を登っていくものに変わっていた。僕のテーマは如何に過去の自分と似た弱者を助けながら坂を登り続けられるか?というものに変わっていた。
営業所長に昇格した1週間後、出張中の車の中、Aから電話があった。
『隆…、実は1ヶ月前にSが自殺した。オマエには忙しいと思って、言わなかった…』
『 … 何でや??? … 』
『Sさん、事故の後遺症で苦しんでた。。。俺、もっと何か話し…できれば…』
『Aのせいじゃないよ…!Sさん、元々復帰できたことが素晴らしいと思う。普通の
人やったら、もう事故の直後で死んでたと思う。思い残すことはきっとないと思う』
僕はアコードクーペのアクセルを踏み込みながら、あふれだす涙を感じていた。最後まで人の為に生きたSを思い出しながら。そして僕を苦しめた黒い鳥、アルバトロスのことも思い出した。Sは僕の身代わりになってアルバトロスに連れ去られたのかもしれない…とも思った。でもその推測は違うかもしれない。
僕は運命論者じゃない、できれば神にも居てもらいたくないと思っている。しかし…僕がバンドマンを諦め実家に帰った時、もし事故から復帰してきたSが居なければ…僕はどうなっていたのだろう?僕は何故まるで必然のように彼に出会い助けられたんだろう?僕と同じように彼の優しさに助けられた人間は大勢いるにちがいない。フレッシュ…彼が僕にくれたものは、新鮮な果実に似ていた。死にかけの人間に一番必要な水と栄養がつまったフレッシュな果実。その味を超える食べ物は未だない。
市内のその会社で5年働いた後、僕は結婚を機にあるソフトメーカーの大阪支社に転職する事になった。バンドマンを諦めた時に感じた、どんどん坂を転げ落ちていく感覚が、今度は強力なエンジンを積んだ耕耘機で坂を登っていくものに変わっていた。僕のテーマは如何に過去の自分と似た弱者を助けながら坂を登り続けられるか?というものに変わっていた。
営業所長に昇格した1週間後、出張中の車の中、Aから電話があった。
『隆…、実は1ヶ月前にSが自殺した。オマエには忙しいと思って、言わなかった…』
『 … 何でや??? … 』
『Sさん、事故の後遺症で苦しんでた。。。俺、もっと何か話し…できれば…』
『Aのせいじゃないよ…!Sさん、元々復帰できたことが素晴らしいと思う。普通の
人やったら、もう事故の直後で死んでたと思う。思い残すことはきっとないと思う』
僕はアコードクーペのアクセルを踏み込みながら、あふれだす涙を感じていた。最後まで人の為に生きたSを思い出しながら。そして僕を苦しめた黒い鳥、アルバトロスのことも思い出した。Sは僕の身代わりになってアルバトロスに連れ去られたのかもしれない…とも思った。でもその推測は違うかもしれない。
僕は運命論者じゃない、できれば神にも居てもらいたくないと思っている。しかし…僕がバンドマンを諦め実家に帰った時、もし事故から復帰してきたSが居なければ…僕はどうなっていたのだろう?僕は何故まるで必然のように彼に出会い助けられたんだろう?僕と同じように彼の優しさに助けられた人間は大勢いるにちがいない。フレッシュ…彼が僕にくれたものは、新鮮な果実に似ていた。死にかけの人間に一番必要な水と栄養がつまったフレッシュな果実。その味を超える食べ物は未だない。