ワコからの悲しい電話があってから何日か経った。僕はジグソーパズルを埋めるようなささやかな毎日を送っていた。時間は寒く過ぎていった。そして僕は27歳になった。大半の27歳と比べ見劣りしていたのだろう。しかしそんなことはどうでも良かった。
その頃、僕は新しい恋を探し始めた。
もう貧弱な精神を焦がすような観念的な恋はいやだ…
そう思っていたが、うまく行かなかった。まず、近くにいるのはお婆さんや子持ちの主婦だけだった。そんな時、珍しく農家を継いだ近所の先輩から『一緒にフィリピンから嫁もらうか?』と相談された。
…恋を飛び越えてアジアの弱者から嫁とりかい???
僕のそんな気持ちを見透かすでもなく、さらに彼はこう言う。
『美人で頭もいいみたいだよ…』
僕は一気に30歳年をとったみたいな気分だった。これが現実なのかもしれない。いや、きっと現実なんだろう。車で30分走れば人口約30万人のそこそこの町もある。でも、専業農家を継ぐという選択は30分の隣町よりフィリピンに近いのだ。
その時になってはじめて、ワコに好きに近い感情を持っていた自分に気がついた。ワコにはそんな僕の気持ちが分かっていたのかもしれない。しかし…もう遅い。僕は隣町よりアジアに近い場所から、自分の新しい恋を見つけなければならないのだ。全くトホホのホだ。へのへのもへじだ。田んぼの中の案山子だ。さだまさしの歌のようだ…。
それから、その先輩と小高い山の上にある空き地で、村の子供たちの相撲大会の行司をしにいった。NHKなんかで放映されると、のどかな山村の若者として紹介されるのだろう。しかし、僕も含め彼だって決してのどかではない。さっきまで、美人でインテリのフィリピンの女を金で買おうとしていたのだ。いや、言い方が良くないな。金で異国の地に連れて来ようとしていたのだ。少なくとも頭の中はのどかどころではない。
夕日が村を包み、子供たちは三々五々帰路につきはじめた。僕らは今度町に飲みにいく約束を固く交わし、お互いの住処に帰っていった。僕が帰っていったのは住処だった。
その頃、僕は新しい恋を探し始めた。
もう貧弱な精神を焦がすような観念的な恋はいやだ…
そう思っていたが、うまく行かなかった。まず、近くにいるのはお婆さんや子持ちの主婦だけだった。そんな時、珍しく農家を継いだ近所の先輩から『一緒にフィリピンから嫁もらうか?』と相談された。
…恋を飛び越えてアジアの弱者から嫁とりかい???
僕のそんな気持ちを見透かすでもなく、さらに彼はこう言う。
『美人で頭もいいみたいだよ…』
僕は一気に30歳年をとったみたいな気分だった。これが現実なのかもしれない。いや、きっと現実なんだろう。車で30分走れば人口約30万人のそこそこの町もある。でも、専業農家を継ぐという選択は30分の隣町よりフィリピンに近いのだ。
その時になってはじめて、ワコに好きに近い感情を持っていた自分に気がついた。ワコにはそんな僕の気持ちが分かっていたのかもしれない。しかし…もう遅い。僕は隣町よりアジアに近い場所から、自分の新しい恋を見つけなければならないのだ。全くトホホのホだ。へのへのもへじだ。田んぼの中の案山子だ。さだまさしの歌のようだ…。
それから、その先輩と小高い山の上にある空き地で、村の子供たちの相撲大会の行司をしにいった。NHKなんかで放映されると、のどかな山村の若者として紹介されるのだろう。しかし、僕も含め彼だって決してのどかではない。さっきまで、美人でインテリのフィリピンの女を金で買おうとしていたのだ。いや、言い方が良くないな。金で異国の地に連れて来ようとしていたのだ。少なくとも頭の中はのどかどころではない。
夕日が村を包み、子供たちは三々五々帰路につきはじめた。僕らは今度町に飲みにいく約束を固く交わし、お互いの住処に帰っていった。僕が帰っていったのは住処だった。