もうやめよう…
僕はワコに何もできない…ということを思い始めてから、ワコからの電話は徐々に少なくなっていった。最後に電話があったのは、僕が偉大なるポール持ちとして復帰する1週間前のことだった。
お元気で…
ワコは言葉少なく、そう言って電話を切った。
僕は今まで自分からそれほど完璧な別れ方をできたことがなかった。大抵の場合、又ね!と言ってしまう。さよなら!とかお元気で!なんて言えたことがなかった。ワコは大した奴だと思った。
二日目の夕方から愛媛の松山を目指して車を走らせた。生まれて初めて見る風景、苦しくなるほどの自然がうんざりするくらいの濃度で僕に迫ってくる。周りがすこしずつ暗くなるにしたがってうっすらと星が見えてきた。
もうやめよう…
僕は過去の僕に何もできない…そう思うしかなかった。バンドマンとして世界を変える事は僕にはできなかった。それにAやSさんといういい人たちにも再会できたのだ。今さら過去の自分を穴のあくほど見つめることはない。僕は社会復帰したんだ。もう大人だ。というか、もう社会人だ。ステージを降りても僕はずっとパンクロッカーだ。何も変わったことなんかない。僕は…昔のままだ。
矛盾した理屈で僕は僕を奮い立たせようとした。数え切れない孤独の代わりに僕は青空を盗んで君にあげたい!そうだ、僕は君に青空をあげたい!でも、一体…君って???
それは少なくともワコではなかった。ひょっとしたら、昔、教室の隅で過ごしていた目立たない僕自身だったのかもしれない…。そして、それを認めることで僕はやっと普通の男になろうとしていた。
僕はワコに何もできない…ということを思い始めてから、ワコからの電話は徐々に少なくなっていった。最後に電話があったのは、僕が偉大なるポール持ちとして復帰する1週間前のことだった。
お元気で…
ワコは言葉少なく、そう言って電話を切った。
僕は今まで自分からそれほど完璧な別れ方をできたことがなかった。大抵の場合、又ね!と言ってしまう。さよなら!とかお元気で!なんて言えたことがなかった。ワコは大した奴だと思った。
二日目の夕方から愛媛の松山を目指して車を走らせた。生まれて初めて見る風景、苦しくなるほどの自然がうんざりするくらいの濃度で僕に迫ってくる。周りがすこしずつ暗くなるにしたがってうっすらと星が見えてきた。
もうやめよう…
僕は過去の僕に何もできない…そう思うしかなかった。バンドマンとして世界を変える事は僕にはできなかった。それにAやSさんといういい人たちにも再会できたのだ。今さら過去の自分を穴のあくほど見つめることはない。僕は社会復帰したんだ。もう大人だ。というか、もう社会人だ。ステージを降りても僕はずっとパンクロッカーだ。何も変わったことなんかない。僕は…昔のままだ。
矛盾した理屈で僕は僕を奮い立たせようとした。数え切れない孤独の代わりに僕は青空を盗んで君にあげたい!そうだ、僕は君に青空をあげたい!でも、一体…君って???
それは少なくともワコではなかった。ひょっとしたら、昔、教室の隅で過ごしていた目立たない僕自身だったのかもしれない…。そして、それを認めることで僕はやっと普通の男になろうとしていた。