私の好きなバンドが解散しました…
ワコの字をじっと見つめながら、僕はこれからどうすればいいのかを考えていた。きっとワコは辛いのだろうということはわかった。かといって僕にできそうな事は何もなかった。
僕はワコを本当に好きではないからだ。ワコの為に毎月東京まで会いに行くことや、ワコの為に毎日電話で話をすることはできるかもしれないと思った。人助けだと思えば僕にはたいていの事はできるからだ。しかし、それはワコを助けることではないことくらいわかった。いや、そんなことをしたら余計に傷つけるだけだろう。
夜中の12時にワコから電話があった。長い沈黙の後、『さびしいの…』と彼女は囁いた。僕は…何も言えなかった。そして、『今日はもう遅いから、明日また』と短い言葉で電話を締めくくった。それから一晩中、ボブ・ディランのハードレインを聞いた。そして10年前に学校をサボって初来日コンサートを見に行ったことを思い出した。一緒に行った中学の同級生のBは今どうしているんだろう?数年前に村から出て行ったという噂以外、音信不通だった。結局僕はワコの気持ちから目を背けたかったんだろう。そんなことを思いながら何日かが過ぎた。僕は両親の仕事を手伝いながら、この先のことを考えていた。と言っても、元々バンドマンになる以外のことなど考えたこともなかった。つまり、特にやりたい仕事も思い浮かばなかった。僕はこのまま毎日鶏の卵を拾いながら年をとっていくのかもしれない?とも思い始めていた。
僕の生まれた場所は、ずっと僕に背中を背けたままだった。そして、小さい頃から何ひとつ変わったところはないように思えた。もし戦争が起こったとしても、この村だけは核シェルターのように守られているんじゃないかと思った。それくらい、近所の人々は人類性善説で生きていた。僕にはそれがすこし悲しく、諦めに似た感情を呼び起こした。ワコのこと以外で僕に生まれた唯一の感情だった。
僕の好きな世界が解散しました…
ワコにそう手紙を書こうかと思った。そして書けなかった。
ワコの字をじっと見つめながら、僕はこれからどうすればいいのかを考えていた。きっとワコは辛いのだろうということはわかった。かといって僕にできそうな事は何もなかった。
僕はワコを本当に好きではないからだ。ワコの為に毎月東京まで会いに行くことや、ワコの為に毎日電話で話をすることはできるかもしれないと思った。人助けだと思えば僕にはたいていの事はできるからだ。しかし、それはワコを助けることではないことくらいわかった。いや、そんなことをしたら余計に傷つけるだけだろう。
夜中の12時にワコから電話があった。長い沈黙の後、『さびしいの…』と彼女は囁いた。僕は…何も言えなかった。そして、『今日はもう遅いから、明日また』と短い言葉で電話を締めくくった。それから一晩中、ボブ・ディランのハードレインを聞いた。そして10年前に学校をサボって初来日コンサートを見に行ったことを思い出した。一緒に行った中学の同級生のBは今どうしているんだろう?数年前に村から出て行ったという噂以外、音信不通だった。結局僕はワコの気持ちから目を背けたかったんだろう。そんなことを思いながら何日かが過ぎた。僕は両親の仕事を手伝いながら、この先のことを考えていた。と言っても、元々バンドマンになる以外のことなど考えたこともなかった。つまり、特にやりたい仕事も思い浮かばなかった。僕はこのまま毎日鶏の卵を拾いながら年をとっていくのかもしれない?とも思い始めていた。
僕の生まれた場所は、ずっと僕に背中を背けたままだった。そして、小さい頃から何ひとつ変わったところはないように思えた。もし戦争が起こったとしても、この村だけは核シェルターのように守られているんじゃないかと思った。それくらい、近所の人々は人類性善説で生きていた。僕にはそれがすこし悲しく、諦めに似た感情を呼び起こした。ワコのこと以外で僕に生まれた唯一の感情だった。
僕の好きな世界が解散しました…
ワコにそう手紙を書こうかと思った。そして書けなかった。