ついおく
よくぼう


ボブディランが初来日したのは、もう30年近く前になる。
僕は16歳、高校1年だった。はじめて聞いたレコードは『欲望』だった。
中学校時代のロック好きの友達と、学校をさぼり徳島からフェリーに乗って
大阪の枚方市にある松下電器体育館までコンサートを見に行った。
チケット代は当時では考えられない高価な額¥10,000だった。

豆粒のような大きさのディランは、レコードのジャケットでよく見るカジュアルな服
装ではなく、白いスーツでキメ、まるで演歌歌手のようだった。
いつもレコードでしか聞いたことのないしゃがれた太い声。独特のふてくさ
れたようなメロディー、大合唱する1万人の観客、その場所で行われている
事は、なにか儀式のような宗教性をおびていた。

僕は家に帰ってから『追憶のハイウエイ61』や『欲望』を聞きまくった。