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高田龍の《夢の途中》

気がついたら、72歳に成ってました。
今までずいぶんたくさんのことを書いて来ました。
あと何年生きられるのか判りませんが、書き続ける事が生存確認でも有りますし生存証明でもあります。
宜しくお願い致します。



    『岬に待つ恐怖』
  《知らされた恐怖➓》

土井と別れた織田と水盛は夜道に車を停めていた。
二人共、話さなくてはならない事がたくさんあった筈だったが何も話さずにいた
あの日、『岬』の海の中で
階段のような彫り込みを見つけてから五年以上の間いつか必ずあの海中から世間がびっくりするような物を見つけ出す。
そう決めていた。
あれを見つけた時の自分達は、まだ子供だった。
しかしこの五年、自分達は変わった、大人になったのだ。
一秒でも永く潜ることしか考えなかった自分達がアルバイトをして金を貯めた。
金を稼ぐことでスキューバの免許をとった。
小さな船も買うことが出来た。
大学の仲間達が、女学生に夢中になっていた時でさえ
、二人は『岬』の事を第一に考えて、そのことを中心
に生活して来た。

大学も卒業して就職先も決まった。
社会人として仕事をこなしながら、『岬』の秘密の解明に一歩近づいたと意気込んでいた。
自分達の中心にいる筈だった土井が、今にして思えば二人がそう思い込んでいただけだったのかも知れない
高校時代、もっと以前から土井は二人にとってリーダーのような存在だった。
だから土井の口からあんな言葉が出るとは思いもよらなかった。
車の中で、二人はどれだけの時間沈黙していたのだろう。
水盛がその沈黙を破った。
『明日からどうする俺達』
『本当だよなぁ』
『道具も揃えたし、やめられないよなぁ』
『まぁ、岬には行こうよ、でも、何か見つけても土井には話せないよな、あいつは警察官なんだよこれからは残念だけどそういう見方をするしかないよ』
織田は寂しそうに言った。