『岬に待つ恐怖』《亀裂❷》 | 高田龍の《夢の途中》

高田龍の《夢の途中》

気がついたら、72歳に成ってました。
今までずいぶんたくさんのことを書いて来ました。
あと何年生きられるのか判りませんが、書き続ける事が生存確認でも有りますし生存証明でもあります。
宜しくお願い致します。





      『岬に待つ恐怖』

               《亀裂❷》


あの年から考えてみると十年以上の年月が過ぎている

あの日空は快晴、雲一つ無いと言ってもいい天気だった。

街の通りを元気よく歩いて行った子供達二十六名と教員二名は学校へ戻って来なかった。

翌日もその次の日も帰っては来なかった。


当然街中は大騒ぎになった

日を追う毎に小学生の行方不明事件はテレビやラジオ

新聞、週刊誌に寄って日本中に拡まって行った。

現場となった『岬』には報道関係の車両が常時停まっていてアナウンサーやリポーターがひっきりなしにマイクに向かっていた。


しかしながら、この事件は解決することは無かった。

警察庁も総力を上げて取り組んではいたが、なんの手掛かりひとつ遺留品さえ見つけ出すことが出来なかった。

そのまま時間だけが流れて行きテレビや週刊誌で特番の放映や特集記事が掲載されるのも次第に減って行き

『岬』の事件は人々の心から少しずつ消えていった。

子供達が消えてから六ヶ月が過ぎた頃には地元の人達以外、その事を話題にする事も無くなっていた。