勝手にドラマレビュー③ あしたの、喜多善男 | そして時は流れていく、瞬く間に…

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寄道人生の旅の途上でふと思う、日々思う、の詩

「あしたの、喜多善男」


前帯のハチクロとは対象的な、いわゆる大人向け。
島田雅彦の小説を原案に、若干のサスペンス色を残した人間心理ドラマだ。

ここで特筆すべきは宵町しのぶ役の吉高由里子

映画「紀子の食卓」カチンコでヨコハマ映画祭の最優秀新人賞を獲得した絶品の演技力で、従来、清少女系の彼女が不思議な二面性を持つ斜陽のアイドルを演じている。
これをきっかけにおそらく今後、女優として大きく活躍の場が広がっていく筈であろう。
NHK大河にスポットで出演をはじめ、既に芥川賞受賞作、金原ひとみの『蛇にピアス』カチンコの主演が決まっている。

更に脇は役者的に渋い顔ぶれが味わいを加える。
『時効警察』ではあの比べようもない空気感を、ふせえりや江口のりこらと爆発させた時効課長役の岩松了が心理カウンセラー江端を、生瀬勝久が平泉成のモノマネをはじめ小ネタ満載の切れ者保険金調査員杉本を、カレーの得意な善男の母親役に大ベテラン加藤治子、更にしのぶ曰わく‘小指噛めおじさん’こと保健福祉局の要人、館道役に何と平泉成本人が登場にひひと細かな洒落どころがニクい。

善男が母親の一人住まう実家の団地を尋ねた時など、夕陽の差し込む部屋で溢れ出る情感やカット割の美しさは監督・三宅喜重の芸術性のなすところか…

助演男優にあたる松田龍平(ご存知松田優作の長男松田翔太の兄)は連ドラでは珍しい顔だが、その実力振りはさすが。
常軌を逸した系はもとより父親譲りの素晴らしさがあるが、今回はミョーに人情あるハミダシ系で、また小日向との取り合わせがハマる。

主演 役者歴30年の大実力者、小日向文世が善男本人と‘ネガティブ善男’を演じ分ける毎回の掛け合いも見ごたえあり。

その他、前作『きらきら研修医』とは正反対のクールな小西真奈美要潤栗山千明らが、それぞれの人生に隠し持つトラウマと葛藤しながら、サスペンスな展開の中で翻弄されていく、今クール内では印象深いドラマと言えるのではないかと思っている。

主題歌:山崎まさよし