mixiを久しぶりに開いてみたら懐かしいレビューが…
哀しいお話を一つご紹介
残念ながら文庫本は絶版…なぜこんな素晴らしい小説が…
kindle版はあるようです。
川端康成というと「伊豆の踊り子」「雪国」とむずかしい系?と思われますが、この「川のある下町の話」は非常に読みやすい全体的には明るめのお話です。
それでも川端の文章にいつも流れている、シーンと静まりキーンと張りつめられ研ぎ澄まされた冷気の様な「死の香り」はやはり存在しています。
「川端難しそう…」という方へ「まずこれを読んでごらん♪」ってお薦めする本です。
僕は、中学生の頃まで外国文学に憧れ、貧しい家庭にもかかわらず親に頼んで世界全集まで買って貰ったのですが、ある日川端康成の「雪国」を手に取り…
1回目は何だかよくわからなかったんですが、2回目に再読した時に「そういうことかー」ってわかり始め、いろんな日本文学(純文学)と呼ばれるものを読みました。
日本文学の美しさ、「こころ」の憧憬、生活に根差したわかり易さで、日本文学ってとても素晴らしいんだと目が覚めました。
もちろん、外国文学だって素敵です。
特に、テオドール・シュトルムの「みずうみ」や、ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」が、僕は大のお気に入りでした。でも、正直、ヴィクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」は、日本の貧しい家に育った、当時中学生だった僕には難しかった。
今なら分かるんでしょうが「銀の燭台」とか様式美がどれ程のものなのか、想像で理解するしかなく、とっても疲れたのを思い出します。
そんな時に「雪国」と出会ってしまい「伊豆の踊子」「古都」「舞姫」「千羽鶴」「山の音」と次々と読み漁り、当時の新潮文庫出版のものは殆ど持っているかと思います。
ただ、遠き学生の頃の話ですので、読んでみないとストーリーさえ思い出せないかも知れません^^;
特に「伊豆の踊子」は当時何回か読んでも理解できませんでしたので、今なら少し違うかな?と思ったり、いや、僕にはあれはさほど面白くないんだという思いが交錯していますので、キチンと読み直してみなければなぁ~などと思っています。
ちなみに文章として一番好きなのは「死の香り」漂う川端康成であり、作家として一番好きなのは、真面目に一生(一所)懸命生きようとした太宰治です。
冒頭に「むずかしい系?」と書いたのは「文学」という何やらお堅いイメージな言葉への難しさへの想像、その主題や言い表そうとしてることへの理解への難しさ、両方を含んでいます。
僕自身もそうですし、読みやすい方が嬉しい♪
そんな畏怖を抱く方への入り口として「川のある下町の話」は、読みやすくお薦めな一冊なのです。古い時代のお話ですが、是非読んでみてください。あえて内容は書かないようにいたします。
<ご参考>
川のある下町の話 (新潮文庫) 川端康成
http://www.amazon.co.jp/dp/410100112X
川のある下町の話 (新潮文庫) 川端康成
http://www.amazon.co.jp/dp/B000JAUP6U
川のある下町の話 (kindle版) 川端康成
http://www.amazon.co.jp/dp/B00D3WJ4SG
※ 新潮文庫版は絶版です。中古嫌な方はkindle版か全集でどうぞ。
みずうみ 他2編 (新潮文庫) シュトルム
http://www.amazon.co.jp/dp/4102078010
みずうみ 他四篇 (岩波文庫) シュトルム
http://www.amazon.co.jp/dp/4003242416
※ 岩波版は誤訳があるだけでなく新潮版の方が文章が
好きですが絶版です。他からもいろいろ出ています。