龍翁余話(921)「自民圧勝、第2次高市内閣が背負うもの」

 

今回(第51回)の衆議院選挙は、石破政権時代の自民党の低迷は何だったのか、と思わせるような歴史的圧勝であった。自民単独で3分の2の議席を獲得した。参院ではなお少数与党ではあるが、ともかく高市首相は衆院で安定基盤を築くことが出来た。翁は思う――近年、有権者は、安倍政権以後の外交・内政の暗雲の解決に何ら具体的成果が見られない自民党に対し嫌気がさし、期待感が薄らぎ、支持は落ちる一方だった時、日本初の女性首相の誕生に国民は瞠目、新鮮さを覚え、歯に衣着せぬブレない政治家の高市に“この人に日本を任せてみよう”という切望(期待)を抱いた結果、(はっきり言って)“高市人気”が自民に圧勝をもたらしたというのが今回の衆院選挙だったろう。問題は、今後の『高市内閣が背負うもの』(何の政策に向かってどんな働きをし、どんな成果を挙げるか)である。

 

選挙直後(2月9日)全国各紙は一斉に「高市内閣支持、自民圧勝」を伝えた。各紙の社説で読売は「安定基盤を課題解決に生かせ」、朝日は「自民圧勝 高市政権継続へ 国論二分せぬ合意形成を」、毎日は「高市自民圧勝、独断専行に陥れば信失う」、産経は「高市首相が信任された 戦後政治の大転換で日本を守れ」、そして日経は「首相はおごらず真に責任ある政策を」であった。翁はその日本経済新聞(社説)の1部を拝借する。

【・・・有権者は高市首相の続投を選んだ。首相は強い政治基盤を手にしたことになる。だが、けっして奢(おご)ることなく、将来世代を含め、国民に対し真の責任を果たせる政策を進めるべきだ・・・今回の自民圧勝は有権者による高市政権への白紙委任を意味するものではない。自民への不信感が払拭されたわけでもない。何でも自由自在に政策を進めてよいということでもない。衆院で3分の2の議席があれば与党が過半数割れの参院で否決されても衆院で再可決することが出来るが、“多数の横暴”と言われないように謙虚で丁寧な国会運営が求められる・・・まずは国民生活に直結する「26年度予算の成立」を急ぎ、その上で日本経済を着実に成長させる政策を推進すべきだ。「憲法(9条)改正」、「衆議院の定数削減」、「食料品の(2年間の)消費税率ゼロ」、「社会保障改革」や「エネルギー政策」など内政課題は山積、一方、国際秩序を揺さぶる米国(トランプ)や中国(習近平)への対応など外交の懸案も山積している・・・高市政権は安易なポピュリズム(大衆迎合主義)に陥ることなく、また、米国や中国の顔色に左右されることなく「日本のプライドをかけて“日本の意志”をもって一貫した外交姿勢を貫く勇気を持たなければならない・・・自民圧勝、少数野党乱立とは言え、民主主義の原点でもある「少数意見も尊重する」寛容な国会運営も必要である・・・」翁、これらの日経新聞(社説)に全面的に賛成である。

 

さて、高市首相は9日夜、自民党本部で記者会見を行ない、概容、次のような考えを表明した――「2年間の食料品消費税ゼロの早期実現に知恵を絞る」と言って、少なくとも夏前には中間とりまとめを行ないたいとの認識を示した。また、「憲法改正に挑戦する」と宣言。「少しでも早く国民投票が行なわれる環境をつくっていけるよう粘り強く取り組む覚悟だ」との決意を述べた。テレビでこの記者会見を見ていた翁の率直な印象は、高市首相はけっして昂ったり意を張ったりするような“上目線ではなく、むしろ冷静に、常に国家・国民を意識し、しかも民主主義の精神(少数意見も尊重する姿勢)を忘れず「連立の日本維新の閣内参加」や「国民民主党をはじめ野党の協力」も呼びかけた。一方、自民派閥の裏金問題に関しては「今回の選挙結果で国民の理解は得られたと申し上げるつもりはない」と言い「関係議員にも全力で働いてもらう」とも語った。“言葉だけではなく実働をもって禊(みそぎ)をせよ”と言うことだろう。

 

絶対多数の支持を得た高市首相の“今後の政策”のスローガン(の概要)をもう一度、確認しておこう。①「日本列島を強く豊かに」――そのためには「危機管理投資」と「成長投資」で「強い経済」を実現する。②「食料安全保障の確立」――そのためには「全ての田畑をフル活動」「輸出促進」「先端技術の活用」により農林水産業・食品産業の成長産業化を図る。③「エネルギー・資源安全保障の強化」――そのためには「電力の安定的安価の供給対策」「太陽電池の普及」「省エネ技術の支援」「レアアースなど国産資源開発」などに着手。④「サイバーセキュリティ対策の強化」――そのためには昨年成立した「サイバー対処能力強化法」のもと「社会全体のサイバーセキュリティの向上」を図る。⑤「健康医療安全保障の構築」――そのためには「再生・細胞医療、遺伝子治療分野」「革新的がん医療」「認知症治療」等に関わる国内研究開発を促進させる。⑥「成長投資と人材力の強化」――そのためには(高市内閣で定めた)「戦略17分野」をはじめ「日本的ビジネス展開の促進」「人材力研究開発の強化」。その他「ベビーシッターや家事支援サービスの促進」「標準的出産費用の自己負担無償化」「給付つき税額控除の新制度設計」「地方活性化」「防衛力・外交力の強化」「新たな戦争態様(宇宙・サーバー・電磁波領域・極超音速兵器等)に対応出来る国防体制の強化で日本の平和を守る」「同盟国・同志国との連携強化」「CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の加盟国拡大」「日・EU

経済連携協定促進」「日本国憲法と皇室典範の改正」「外国から日本への投資の安全保障上の審査を強化するため“対日外国投資委員会”の設置」「インテリジェンス関係省庁の司令塔として“国家情報局”を設置」など(以上、内閣府提供)・・・

 

以上述べた通り『第2次高市内閣が背負うもの』は多岐に亘るが、翁の個人感情としての要望は端的に言って「早く経済をよくしてくれ」、「安心安全の強い日本にしてくれ」だ。多分、高市内閣は口癖のように「働いて、働いて、働いて・・・」頑張ってくれるだろう。だからと言って(選挙が終わったから、と言って)我々の“国民主権責任”が終わったわけではない。政治の主役は政治家だが主役たちの動き(働きぶり)の監視の目を怠ってはならない。同時に翁は言う「高市よ“健全政策の遂行は健全体力あってのこと”。日本及び日本人のためにくれぐれも健康第一を心掛けよ」・・・っと、そこで結ぶか『龍翁余話』。