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2015年8月7日、弔問へ向かう。
2015年4月5日に急逝された
後輩のもとへ。
高校時代の後輩で、当時直接は
知らなかった。
数十年後、都内某バーで声を掛けられる。
《RYU先輩ですよね?
高校の時の後輩Aです。》
ピンと来なかったが、彼は笑顔で
わたしを見た。
《ああ、そうなんだ…。》
と笑顔を返した。
その後も、普段付き合いは無かった。
たまにバーで会うと、少し話す程度の
関係だった。
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わたしの一時退院中の冬に一度、
偶然街中でAに出遭った。
彼は営業中で、ビジネスバッグと紙袋を
抱えていた。
わたしは友人と、外のテーブルでお茶をしている最中だった。
二言、三言、お互いの現況を話し、
彼は仕事に戻っていった。
それが、彼を見た最後だった。
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彼の死を知ったのは、わたしが退院後の
二ヶ月以上後だった。
共通の友人に久々再会した時に、
教えてもらった。
最初、誰が亡くなったのか
わからなかった。
《RYUの病気をとても心配していて、
人伝てでRYUが回復している事を
聞くと、自分の事のように、
『良かった!』と言いながら
号泣していたんだ。》
それが、Aの事だとわかるのに
数分、要した。
あのAが、自分より先に逝くなんて…。
信じられない気持ちと同時に、
涙が零れた。
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これから友人からいただいた住所を
頼りに、弔問へ向かう。
しっかりと、彼に挨拶していきたい。
こっちは、どうにか生きているよ、
と。
そっちは、どうだい?
ゆっくり休めてるかい?
と。