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写真は、炎天下の中力強く咲く、紫の野花。


✴︎

2015年8月7日、弔問へ向かう。


2015年4月5日に急逝された
後輩のもとへ。


高校時代の後輩で、当時直接は
知らなかった。


数十年後、都内某バーで声を掛けられる。


《RYU先輩ですよね?
高校の時の後輩Aです。》


ピンと来なかったが、彼は笑顔で
わたしを見た。


《ああ、そうなんだ…。》
と笑顔を返した。


その後も、普段付き合いは無かった。


たまにバーで会うと、少し話す程度の
関係だった。


✴︎

わたしの一時退院中の冬に一度、
偶然街中でAに出遭った。


彼は営業中で、ビジネスバッグと紙袋を
抱えていた。


わたしは友人と、外のテーブルでお茶をしている最中だった。


二言、三言、お互いの現況を話し、
彼は仕事に戻っていった。


それが、彼を見た最後だった。


✴︎

彼の死を知ったのは、わたしが退院後の
二ヶ月以上後だった。



共通の友人に久々再会した時に、
教えてもらった。


最初、誰が亡くなったのか
わからなかった。


《RYUの病気をとても心配していて、
人伝てでRYUが回復している事を
聞くと、自分の事のように、
『良かった!』と言いながら
号泣していたんだ。》


それが、Aの事だとわかるのに
数分、要した。


あのAが、自分より先に逝くなんて…。


信じられない気持ちと同時に、
涙が零れた。


✴︎

これから友人からいただいた住所を
頼りに、弔問へ向かう。


しっかりと、彼に挨拶していきたい。


こっちは、どうにか生きているよ、
と。


そっちは、どうだい?
ゆっくり休めてるかい?
と。