豊橋市民に忍び寄る水道民営化 

すがや竜 豊橋市議会議員のブログ 

 

 上下水道の民営化には、構造的な問題と、歴史的な失敗という明確な裏付けがあります。第一に、「利益追求」と「公共性」の矛盾です。自治体による運営であれば利益を出す必要はありませんが、民間企業に委託すると当然ですが利益追求となり、加えて株主配当や役員報酬などのコストが発生し、それが巡り巡って水道料金の高騰という形で市民の負担になりかねません。

 第二に、欧州等における具体的な失敗と「再公営化」への回帰です。例えば、約25年間にわたり民間企業(大手水メジャー)に運営を委託していたフランス・パリでは、料金が大幅に上昇し、企業の財務情報の不透明さも問題視されました。そのため2010年に契約を更新せず、市が直接運営する公営に戻したところ、コスト削減に成功して水道料金を引き下げることにも成功しています。また、一部を民営化したドイツ・ベルリンでも、度重なる料金値上げや投資不足への不満から、住民投票などを経て2013年に再公営化が達成されました。

 こうした世界的な失敗の歴史を経て、多くの都市が公共の手に戻す「再公営化」にかじを切っているのが現在の世界潮流です。他国が教訓を得て方針を転換している中、そうしたリスクの経験がない日本へ外資系の水企業などが進出しつつある現状には、極めて慎重な議論が求められます。完全民営化とは少し異なる、実質的な民営化の一形態である「コンセッション方式」は管路や施設は自治体が所有し、運営権を民間企業に委ねる方式ですが、完全民営化よりも悪手と個人的には考えます。コンセッション方式は下の図の通り、完全民営化に最も近い方式です。豊橋市の新アリーナ本体も「コンセッション方式」が予定されています。

豊橋市の3つの懸念点

① 下水道において公共下水で一部、管路を除く富士見台処理区(特環の若松東地区、むつみね台地区含む)及び管路を除く、し尿処理施設(野依台、天津、いずみが丘、杉山町御園)で、水の官民連携ウォーターPPPのレベル3.5(レベル4がコンセッション方式)の導入を令和8年度中に決定する予定。国土交通省の資料には3.5(原則10年)の後、レベル4コンセッション方式に移行する事とすると記載があります。

 

② 県の豊橋浄水場(市の小鷹野浄水場の隣)の再整備後の2035年頃から、関連施設を含めコンセッション方式が予定されている事。運営権が民間企業に設定されると県の職員ではなく、民間企業の社員が働く事になると愛知県の企業庁に確認しました。

 

③ 東三河の上下水道広域化(一本化)の議論が始まり、「豊川流域上下水道広域連携協議会(仮称)準備会」が立ち上がりました。まだ詳細が決まってないので現時点での判断は難しいですが、将来的にコンセッション方式を視野に入れているのではないかと個人的には注視しています。

 

 ①の下水道のウォーターPPPについて、過去にブログに書きましたので、よろしければ以前の記事をご覧ください。下の図の中央の灰色部分が、豊橋市最大の下水道処理区、排水人口割合71.6%の中島処理区です。現在はウォーターPPPの対象外です。ウォーターPPPのレベル3.5が予定されているのは、管路を除く富士見台処理区と、し尿処理施設です。管路の更新費用などに充てる国の財政支援を受けるためには、ウォーターPPPの導入の決定が実質的な条件となっており、多くの自治体が半ば強制的に導入を迫られているのが現状です。

 ②次に県の豊橋浄水場(市の小鷹野浄水場の隣)の再整備後の2035年頃から、関連施設を含めコンセッション方式が予定されています。(出典:愛知県企業庁 豊橋浄水場再整備等事業についてより)

 豊橋市は、市民が利用する上水道のおよそ7割を、県が管理する豊橋浄水場から購入しています。現在の豊橋浄水場と市内の関連施設は県の管理・運営ですが2035年頃からコンセッション方式となり、民間企業が運営する事になります。運営権対価は0円ということを愛知県企業庁に確認しました。

 

 ③最後に「東三河の上下水道広域化(一本化)」はまだ不明点が多い新しい計画です。豊橋市が関係する「豊川流域上下水道広域連携協議会(仮称)準備会」よりも先に、西三河の矢作川流域で、2024年8月に「矢作川流域 上下水道広域連携協議会(仮称)準備会」が立ち上がりました。準備会での検討を経て「矢作川流域 上下水道広域連携協議会」が設立され、上下水道の一本化に向けた具体的な検討及び準備が進められています。

(出典 第2回 矢作川流域 上下水道広域連携協議会資料より)

 資料によると、まず西三河地域と東三河地域一体で「新組織設立」を視野に検討が進むようです。

 不明点が多い豊川流域 上下水道一本化ですが、コンセッション方式が導入される事にならないか等を、今後しっかりと注視していきます。

 

 豊橋市が関連するの3つの懸念点を簡単に説明させていただきましたが、急速に進められる水道のコンセッション化を踏まえると、極めて深刻な状況と認識しています。生きていくうえで欠かせない水道事業は、民間企業ではなく行政が責任を持って担うべきだと考えます。

 豊橋市では問題意識を持った方々の団体が立ち上がり、2026年10月25日に「豊橋水道緊急集会」が開催されることになりました。私も発言の機会をいただきました。下水道事業がコンセッション方式となった浜松市からは、市民団体の池谷たか子さんが来られます。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。誤字脱字ご容赦ください。 豊橋市議会議員 すがや竜