結論から言いますと、日本でCOVID-19対策の評価が国内と海外のメディアから高くない問題の根底には、日本の医療政策決定のプロセスにおける「透明性」や「信頼性」の課題があると感じます。

 

残念ながら日本の医療政策決定は欧米と比較し、科学と一定の距離をおいて行われているようにみえます。

「全校一斉休校」や「アベノマスク」の決断が、専門家の助言に基づかない首相の独断だったことが次々に報道されたことは、皆さんの記憶にまだ新しいのではないでしょうか。結果的に判断が間違っていなかったにせよ、こういった判断は専門家の科学的助言に基づいて行われべき事項です。しかし首相会見は当初、単独で行われ、専門家を同席させたのは、緊急事態宣言の発出から解除までの期間です。

 

今回のコロナ禍で問題が明らかになったことは、2つあります。

 

1.まず本来は高度の専門知識と十分な経験を持つ専門家集団が国の感染症危機管理や公衆衛生を担うことが求められているが、「専門家の医療政策において立ち位置が明確でない」こと。

 

2.そして「政府の説明責任と透明性が不十分」であり、首相が明確なビジョンとメッセージを示さなかったことです。

 

では次に比較として、英国における「専門家会議の立ち位置」と「透明性」についてお話を進めていきたいと思います。