I'm home | リュウミホのちょっと一息

I'm home

駅へ降りると潮の香りが瞬く間に広がった

広くて遠い海を思い出す

深呼吸をすると空気が綺麗な事がすぐにわかった


数々の出来事が鮮明に浮き上がってくるようだった


なぜか切なくてしょっぱかった思い出
この地を踏んだ瞬間から少し涙がこぼれそうだった


その味に負けまいとブルーベリーのたっぷりかかったアイスクリームを食べる



これで準備OK


土曜日だからか。
人がやたらと多くて待ち合わせの時間に間に合うか心配になる


「あぁもうどいてどいて。これからが本番なんだから」
さっき食べたアイスクリームの時間が惜しくなってきた


人混みを掻き分けてひっそりとした路地裏へ入ると他人の会話も聞こえなくなった


そしてそれはそこにあった


懐かしいこの扉、匂い。


雨の日に一人で読書したりいるだけで幸せを感じたこの場所。


嬉しかった。

ただ嬉しかった。

人間はいつの間にか変わっていく。

環境や仕事や恋人や‥。

だけどここは何も変わっていなかった。

帰ってきたんだ。
ここに。

懐かしいコーヒー。お腹を空かせた時につまんだピーナッツが今でもあった。


戻ったよ。

やっぱり嬉しいんだって