平日に届くあのAmazonの箱。
あれを開ける瞬間が、たぶん一週間で一番テンションが上がってる。

今度こそ、これがあれば。
この焚き火台なら、この限定色のテントなら、俺のキャンプは「完成」して、今度こそ本気でリラックスできるはず。
そう思って、またカードを切る。

でも、いざキャンプ場に来てみると、いつも通り。
設営して、ギアを並べて、一番いい角度で写真を撮る。


そこまではいい。

SNSにアップして「いいね」が付けば、自分のセンスを認められた気がして、ちょっとだけ救われた気分になるから。

だけど、夜になって火を眺めてると、決まってアイツがやってくる。
例えようのない、あの虚しい感じ。

目の前には、あんなに欲しくて堪らなかった道具たちが並んでる。
どれもこれも、手に入れるまでには苦労したし、値段だって安くない。
なのに、それらに囲まれてる自分は、一週間前と何も変わってない。

癒やされたい。
満足したい。
そう思って環境を完璧に整えたはずなのに、心の中は相変わらずスカスカなまま。

結局、道具を買い換えても、場所を変えても、中身がこのままじゃ意味ないんじゃないか。
そんな考えが頭をよぎるけど、怖くてすぐに打ち消す。
だって、それを認めたら、今まで注ぎ込んできた100万円が無駄だったことになってしまうから。

だから、またスマホを開く。
「キャンプ 新作 ギア」で検索して、無理やり次のワクワクを探す。
そうやって、麻酔を切らさないように必死になってる。

俺、一体何してるんだろうな。
「最高に癒やされる趣味」のはずなのに、なんでこんなに必死で、こんなに満たされないんだろう?