「あ、これだ。これが手に入れば、俺のキャンプは完成する」

そう信じて、何度スマホの「注文を確定する」ボタンを押してきたでしょうか。

数ヶ月待ちのガレージブランドのテーブル、手作業で作られた一点物の焚き火台、そして、海外から取り寄せたヴィンテージのランタン。

これらさえ手に入れば、最高の癒やしが手に入る。誰にも文句を言わせない、完璧な自分だけの空間が作れる。

そう信じて、100万円以上の金額を、文字通り「形」のあるものに投じてきました。

実際、キャンプ場での設営が終わった直後は、最高の気分です。

完璧にレイアウトされたサイトを眺め、一番いい角度で写真を撮り、SNSにアップする。

「いいね」の通知が鳴るたびに、自分の選択は間違っていなかったと確信できます。

でも。

ビールを開け、焚き火に火を灯し、ようやく訪れた「癒やしの時間」のはずなのに。

ふと、静寂が訪れた瞬間に、得体の知れない「虚しさ」が足元から這い上がってくるんです。

「……で、次は何を買えばいいんだ?」

目の前には、喉から手が出るほど欲しかったギアたちが並んでいる。

物理的には、これ以上ないほど快適で、美しく、完璧な環境のはず。

 

なのに、心の中は、Amazonの段ボールを片付けた後のように、スカスカに空いたままなんです。

「癒やされるはずだった」という期待と、目の前の「満たされなさ」のズレ。

その違和感を打ち消すために、またスマホを開いて、新しいギアの入荷情報をチェックしてしまう。

僕は、癒やしを求めてキャンプに来ているのか。

それとも、新しい「モノ」で自分を麻痺させに来ているのか。

もし、あなたが僕と同じように「次のギア」を探すことでしかキャンプの満足度を維持できないと感じているなら。

それは、もしかすると道具のスペックの問題ではなく、僕たちの「内側」に、もっと別の、構造的な欠陥があるのかもしれません。

サイトの総額が上がるほど、反比例するように「癒やし」が遠のいていく。

そんな矛盾だらけの週末を、僕はいつまで繰り返すのでしょうか。