イヌイット族
我々の会社は夜中から早朝にかけて始まるので、冬季などはここ
南国和歌山でも結構寒くて冷温の中での作業となる。 あるとき同僚
のオッサンがいつものように「おはよう!」と挨拶してきたのでこちらも
いつものように返した。 するとその日のそのオッサンの過剰なまで
の防寒スタイルを見て、僕は絶句するのであった。
僕 「 ハッ、ハハ~、なんじゃそら! そこまで寒ないやろ?
狩りにでも行くんか? エスキモーか?(笑) 着こみ
過ぎやろ! そしてそのバカでかい帽子…まるでロシア人
だぜぇ~!」
オッサン「いやいや、今日は寒いわ~! ちょっとキツイ!」
僕 「いやいやここは和歌山だぜぇ~。 そこまで寒ないやろ?」
オッサン 「 50まわったら堪える(こたえる)わ~。 歳や、歳!」
僕 「よっしゃ、わかった。 それイヌイット族や、イヌイットに
そっくりや!」
オッサン 「なんじゃ、そのイヌイットっていうのは?」
僕 「 グリーンランドの狩猟民族や。知らんかぁ~?北極
か南極の傍(はた)にある国や! 狩りで生計たてとる。
なんでも、自然の恵みが主食なので健康的で内臓なんか
強いらしい。この間テレビやってた!」
オッサン 「…、…。」
僕 「 そういうことで今日から僕は君のことをイヌイット川原(本名)
と呼ばせてもらうぜぇ~!」
オッサン 「…、…。」
という経緯(いきさつ)でこのニックネームは生まれたのであった!
そのイヌイット川原君がちょくちょく間違い着信履歴を僕の携帯にし
やがる。 まぁ、同僚の中でも親しい間柄なのでタマになら結構だが
、こうも頻繁に2日に一回ペースならコチラもイラッとくる。
仕事中、またしても僕の携帯がピカピカ光っているのが見えた!
僕 「…ん~、誰かなぁ~? ピッ、ピッピッ!…ん~、…チェっ
、また川原か! どうせまた間違ごたんちゃうか~。
どれどれ…(通話時間2秒)…やっぱり! 昨日も
間違ごたのにええ加減にせぇ~よ、まったく!」
そしてすぐさま彼に電話した!
僕 「…プルルル、プルルル…プルルル!」
イヌイット川原 「 …カチャッ! もしもし?」
僕 「…おいおい、ええ加減にしてくれよ~、また間違ごたやろ?
毎日ヤンケー! もうまったく、誰から着信かな?思たら
イヌイット川原かえ~! 毎回毎回やめてくれよ。 何処か
のお姉ちゃんかな?思て期待するヤンケー!」
イヌイット 「…あっ、ワリワリ! 当たったんや! 微妙や思たけど
やっぱり入ってもたか~?」
僕 「 …っていうか毎日ヤンケー! そんなん毎回毎回当たれ
へんやろ~!」
イヌイット 「…電話帳のカとキ(僕の名字は木原!)で当たってまう
んや。 老眼もあるんで…。」
僕 「…っていうかよ~、何処へかけるんよ~? カ~って川原
やろ? 自分の名字ヤンケー!」
イヌイット 「…家や、家! 実家や!」
僕 「なんてよ~、自分の家 名字で登録してんの~?」
イヌイット 「そ、そうよ! オヤジの名前 川原しげる(すでに故人)
で…。」
僕 「なっ、なんてよー! 自分の家 オヤジの名前で登録し
てんの? そんなヤツ、おれへんやろ~! 普通よお~、
(家)とかよ~、(自宅)とか(実家)とかよ~、あるやろ~!
オヤジの名前、フルネームで登録するヤツおれへん
で~。 他人かよ~! しかも亡くなってるし…。」
イヌイット 「 昔、まだ生きてる時に登録してそのままホッタら
かしになってるんや~…。」
僕 「違う、違う! そういう問題じゃなくて、オヤジの名前
はおかしいやろ~! とにかく、(自宅)とか(実家)に
変更しといてくれよっ! ほな電話帳、シとキで離れ
てるから当たれへんやろ? いくら老眼でも…。
でも死んだオヤジのひとつの形見だとか遺産だ
とか言うのならこっちも考えるさぁ~…。」
するとイヌイット川原は反論することなく「…わかったぁ~
!」とオッサンには似ても似つかない可愛らしい声でこたえ
、納得するのであった。
それ以来、彼の間違い着信履歴はなくなった…。
因みに新しく買い替えた僕の携帯の電話帳には
(イヌイット川原)としっかり登録されでいます!
(注釈) このネタは今から半年前のもので、まぁ友でも
あるしネット上に暴露するつもりは毛頭なかった
のですが、最近このイヌイット川原君が仕事で
ミスしたときに、年甲斐もない言い訳めいたウソ
を連発するので、お仕置き!として泣く泣く公表
することにしました。 よって登場人物の名前は
すべて実名です!
THE END