まず、よく間違えられるようですが、ソーシャルメディアとは全く異なります。笑
ソーシャルマーケティングとは、ざっくり言ってしまえば
「社会的に良いことを広めるための戦略的なプロセス」です。
ビジネスの世界で一般的に用いられてるマーケティングを
一企業のためではなく社会にいいことにも応用しようぜって話なんですが、
それだけなのに、考慮すべき点は随分違うように思います。
そして、ソーシャルマーケティングのゴールは
「ある人の行動を、良い方向へ変えること」。
ちなみに、企業のマーケティングの一般的なゴールは
「生活者に商品・サービスを購買してもらうこと」だと思いますが、当然これと似てるわけです。
(購買は手段で、企業へのロイヤルティ向上がゴール、とか色々とあるとは思いますが...)
また、一般的に、ですが、以下のようなプロセスを経て戦略立案がなされます。
<why→who→what→how→4p>
【why】
エビデンスのレビュー。
まずはじめに行うのがこれ、と言われています。
ソーシャルマーケティングとは、つまり社会に良いことを広めるために実施されるわけですが、
この「社会に良い」ってのがなかなかのくせ者。
あなたが自信を持って「これは絶対社会に良いから!」といえるものって、何がありますか?
この「(社会に)良い」というのは、誰にとってなのか、そしてそれは"なぜ”なのか。
一筋縄ではいかないと思います。
例えば、ピンクリボンキャンペーン。


野球のドームでは、啓発デーに合わせてピンク色に染められた。
このキャンペーンの目的は、乳がん検診の啓発。
検診行動を広めることで乳がんのリスクを減らせるのですから、普通に考えたら、検診を呼びかけた方がいいと考えると思います。
しかし、アメリカのある文献では、こんな報告がなわれていました。
"35歳の女性1900人が乳がん検診のマンモグラフィを受けたところ、ガンが発見されたのは0件だった"
一見、なんともないことなのかもしれません。
しかし、マンモグラフィでX線検査を受けるわけですから、もしかしたらそれが原因となってガンになるリスクは上がるといえるのではないでしょうか?
...では、そういうリスクがあるのなら、啓発はしない方がいいのでしょうか?
しかし、「私は乳がんかも...」と不安に毎日を過ごすことは、パブリクヘルス的に心的健康に良くないわけです。
と、こう考えると「社会に良い」というのは難しい。
なんとなく良さそう...というのは、絶対に許されない分野です。
裏返すと、「社会に悪い」ことだけは避けなければなりません。
じゃあ、科学的にきちんと立証できてる「社会に良い」なんてあるんですか。。
ここで必要なのが、上述したエビデンスのレビューです。
世の中には幸いなことに、すっごく頭のいい研究者の方々が人生を賭して、この「社会に良い」ことはなんなのかをめちゃくちゃリサーチしてくれています。
例えば、感謝の手紙。
「感謝の手紙を送る」ことは、何気なく日常を過ごすある人の幸福感を向上させる方法として、科学的に立証されている方法らしいですよ。意外で面白いと思います。
では、感謝の手紙を書く、という行動を広めるにはどうすればいいか...
と、ここではじめてマーケティング的な思考に入っていくわけです。
何が「社会に良い」のか。
これを知っているだけでも、かなりの武器だなぁと思います。
【who→what→how→4p】
残りは雑にまとめてしまいますが、基本的には一般的なマーケティングとやることは一緒です。
つまり、
マーケットリサーチ(3C,SWOT,PEST,5forceなどなど)を重ね、
顧客をセグメンテーションして、
ターゲットをきめて(who)、
インサイトを発掘して、
何を言えばターゲットの心が動くのか定めたら(what)、
それをどういえばターゲットの身体も動くのかアイデアを出し(how)、
それを最終的に4P(Product,price,place,promotion)に落とし込んで実施します。
で、ここで大事なのが
・結果が全てであること
・評価方法をデザインし、実施すること
だといわれているのだとか。
結果が全て。
頭でどんなにいいことを考えていても、それだけでは社会は良くなりません。
実施すること。社会に影響を与えること。そしてベターな世界をつくること。
やりきってはじめて評価されるのが、ソーシャルマーケティングといえるのかもしれません。
そしてその評価は、どう実施されるのか。何をクライテリアとするのか。
実施したマーケティング戦略はどの程度まで影響があったのか、これは実施後の定量的な調査(アンケート等)や小難しい評価測定モデル用いて検証することができます。
こうした知見の積み重ねは他の地域でも応用可能なので、重要だといえます。
とまぁそんなことを述べてきたのですが、本当に言いたいのはここから。
僕がすっごく好きなソーシャルマーケティングのキャンペーンを紹介したくて、まずはソーシャルマーケティングについて書いてきた、のですが。。
はい、なんだか長くなってしまったので、今回はここまで。笑
次回、近いうちにそのキャンペーンを紹介したいと思います。
thank you ^^.



