
社会貢献。
そんな言葉がここ数年、溢れていますよね。
「うさんくさいなぁ」という人。
「俺は結構真面目に考えてる」という人。
反応は様々だとは思いますが、特に若い人の間では流行っている考え方(生き方)だと思っています。
というか、僕こそがそういうこと思っているど真ん中、というか。笑
今回のエントリーでは
「なんで若者は社会貢献をしたがるの?」
ということについて
社会起業家やら、
週刊少年ジャンプやら、
算数(+-×÷)やら、
一見なんの関連性もなさそうな事柄を絡めて
自分なりの考えをまとめてみたいなと思います。
多分、若い人の間では社会貢献はトレンド、というよりは価値観?

昨今、社会貢献という価値観が根付きはじめているともいわれています。
「それって本当なの?」
と懐疑的な人のために、一応データをいくつか掲載してみますか。


(出所:内閣府「H23社会意識に関する世論調査」より抜粋)
CSR。
CRM。
エコ。
寄付。
ボランティア。
貧困地域への学校建設。
などなど。
そうしたいわゆる「社会貢献」と呼ばれるやつが、特に90年以降から徐々に浸透してきました。
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(ちなみにこの辺も参考になりそうです。)
◯観光町『ボランティア等社会貢献活動旅行を通じた旅行性向・意識に関する調査・分析』
http://www.mlit.go.jp/kankocho/volunteer.pdf
◯電通総研『社会貢献に関する生活者意識調査 「ありがとう」の一言がうれしい若者』
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2010/pdf/2010062-0616.pdf
◯NTTアド
『社会貢献活動に関する調査』
http://www.ntt-ad.co.jp/research_publication/research_development/report/110425/index.html
『若者はなぜ、「社会貢献×ビジネス」なのか』
http://www.ntt-ad.co.jp/research_publication/publication/kuukidokuhon/06/pdf/kuuki_vol6.pdf
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まぁこうしたマクロなデータではなかなか実感がわきませんが...
特に僕ら若い世代において「社会貢献」の意識がある人は多いなぁ、と、大学の友達をみていても思います。
僕の通う慶應義塾大学でも、「国際協力」や「社会貢献」をうたったサークルはいくつもある。
そして最近では、こんな映画も上映されてますね。

この辺りは枚挙にいとまがないのでこのエントリーでは比重を置きませんが、
とにかく事実としてこうした動向があるかと思います。
なんとなく「社会に貢献したい」という人が増えているなぁ、という実感はあるのではないでしょうか。
注目を浴びる社会起業家たち

社会起業家って、ご存知でしょうか?
社会貢献ブームをさらに加速させたのが彼らの登場だと思います。
簡単にいってしまえば、
「ビジネスで社会問題を解決する」職業、でしょうか。
英語では、ソーシャルベンチャーとか、ソーシャルアントレプレナー、チェンジメーカーとも呼ばれる生き方。
2005年くらいからでしょうか?
CSRなどといった企業の社会的責任が騒がれたのと並行して、ずいぶんと話題になっています。
(最近のクーリエやハーバードビジネスレビューでも、この社会起業家やBOP(Bottom of the Pyramid)市場に関する特集が多く組まれていました。)
せっかくなので、そんな社会起業家さんたちをいくつか紹介します。
取り組みの内容はもちろんですが、「どうしてその活動をするに至ったのか」にも注目します。
その理由は後から説明させてください。
***
◯グラミン銀行

有名すぎて紹介するのもちょっとひけますが...(笑)
マイクロファイナンス(クレジット)という手法を実践し、広めたことで知られるグラミン銀行です。
総裁のムハンマドユヌス氏は、2006年にノーベル平和賞を受賞しています。
活動内容は、
ざっくりいってしまえば"貧困層に無担保で小口融資をおこなう"というもの。

また、お金の貸し出しだけではなく、起業支援など様々な取り組みと組み合わせて行われていますね。
そして活動の経緯ですが、
"ユヌス氏は1940年生まれ。フルブライト奨学生として米国に留学、バンダービルド大学で経済学博士号を取得した。その後バングラデシュに戻り、同国のチッタゴン大学経済学部で学部長を務めていた。ところが、経済学は国内の貧困解消には役立っていないと感じるようになった。
1974年に、彼は竹製の椅子を作っていた貧しい女性に少額のお金を貸した。それまで彼女は材料を仕入れる際に高利貸しからお金を借りていたため、1日の収入のほとんどが利払いに充てられ、手取り収入はわずか2.5円だった。ところがユヌス氏には法外な利子を払わずにすんだため、それが150円に増えた。
彼女と同じ村には同様の境遇の人が42人おり、27ドル(約3200円)さえあれば、その全員を貧困の悪循環から助け出すことができると分かった。ユヌス氏が彼らに個人的にお金を貸してみたところ、全員がきちんと返済してきた。この経験からユヌス氏は、貧しい人に適切な利率で融資することが出来さえすれば、彼らの生活は向上すると確信した。そこで大手銀行に、貧しい人にも融資するよう働きかけたが「当時は貧しい人がきちんとお金を返すとは誰も思っていなかった」。それなら自分でやろうと考えたのが、グラミン銀行の設立のきっかけだ。"
(出所:http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20061023/112169/?rt=nocnt)
ご存知でしたか?
◯motherhouse

こちらもかなり有名ですが、とっても大好きなので...(笑)
バングラディッシュから世界に通用するバッグブランドを目指すmotherhouse。
僕は著書「裸でも生きる」を読んでから、山口絵里子さんの大ファンです。笑

活動内容は上記の通りですが、この活動をはじめた経緯もまたすごい。
山口さんは高校時代、柔道に打ち込んでいたそうですが(それも並大抵ではなく)、
慶應SFCに進んでからは途上国開発のゼミに入ったそうです。
そこで実際に支援の現場をみたいと思った山口さんは、米州開発銀行にインターンへ。
しかしそこでは途上国に訪れたこともない人たちが、優雅に仕事をこなす姿。
疑問を抱いた山口さんは、「アジア 最貧困」と検索。
そこで出てきた国が、バングラディッシュ。
すぐに、現地へ。
そこで出会った現実を目の前にし、あらためて何かしたいと思ったそうです。
そんなとき、貧困国バングラディッシュでも輸出産業が盛んな「ジュート」という生地に目を付けて...
といった経緯で、先進国にも通用するバッグを現地でつくろう、と至ったそうです。
僕なんかの言葉で語るのは本当に恐縮過ぎるので、気になった方はせひ書籍や情熱大陸をご覧いただけたらと思います。
◯エコスクラップ(eco scraps)

さて、壮大な取り組みの紹介が続きましたが、こちらはもっと身近な事例かもしれません。
エコスクラップ社を牽引するのは学生です。
この企業のビジネスモデルはいたってシンプルで、「廃棄される食物を肥料にする」。

この取り組みを行うに至った経緯をみてみると、
もともと彼らが通う大学の近くにバイキングレストランがあったそうですが、
そこでは毎日膨大な量の食糧廃棄物がでます。
「これを肥料にできないか?」
そう思った彼らは、教授の助けも借りつつ肥料化の技術開発に着手。
通常は3ヶ月かかる加工工程を3週間、しかも化学肥料に負けない肥料の開発に成功しました。
***
さて、これも挙げるときりがないのでこのあたりでやめておきますが...
何を隠そう、僕は大学に入ってすぐにこうした生き方を知って、むちゃくちゃ興奮しました。笑
すごく、すごくかっこいいと思った覚えがあります。
マネゴトにすぎませんでしたが、
・地域のおばあちゃんを講師として一人暮らしの学生に料理を教える「料コン」
(おばあちゃんにいきがいを提供し、学生には健全な合コンを提供。笑)
・障碍者と呼ばれる方々の個性を生かした「デザイナーズプロジェクト」
・留学生に古き良き日本旅館に宿泊してもらうことを通して外国人の宿泊促進を目指した「旅館再生」
といった取り組みに、1~2年の時にチャレンジしちゃったり。
どれもうまくいきませんでしたが。苦笑
ですが。
社会貢献がブームのさなか、きっと僕だけでなく、
こうした取り組みに憧れてチャレンジしては失敗した学生も多いのではないでしょうか。
なぜ憧れやすいのか。
なぜ失敗しやすいのか。
ここをもう少し掘り下げてみようと思います。
なぜ、社会起業家に引力を感じるのか?

これまで事実の列挙で退屈だったかもしれませんが、
...いえ、退屈でしたよね。すいませんでした。
ここから先は、一個人の見解ということで読み進めていただければと思います。
なぜ、僕らは社会起業家に憧れを抱くのか。
「かっこいい大人が周りにいないから」
「個人が多大な影響を他人に与えられる仕事は他になかなかないから」
そんな言葉で終わっては浅はかな議論になってしまいますので別の観点から述べていきますが、
先に「なぜ、僕らは失敗するのか」を考察していきたいと思います。
いきなりですが、質問です。
先程紹介した3人の社会起業家、活動は全く異質ですが、彼らの成功に共通点があるとしたら。
何だとだと思いますか?
僕は、
「個人の具体的で衝撃的な経験からはじめている」
ことこそが、最大の成功要因だと考えています。
経験。
ここから生まれるのは、圧倒的な「熱量」(passion)だと思います。
"この人"のために、何かしたい。
その強い想いが具体的な行動を引き起こし、
それは多くの人や資源に巡り会う機会(chance)と、
つらくても知略と根性で踏ん張る継続性(sustainability)を呼び込むはずです。
では、社会起業家をみて憧れる僕らは?
経験がない。
「こういう取り組みがあるんだ」という知識で興奮しているにすぎません。
「面白い!」「自分もああなりたい!」
といって食いつくものの、一番喜ばしたいのは"自分"であって、"この人"ではない。
喜ばしたい相手の具体的な悩みがわからず、その手法と結果ばかりに目がいきがちです。
失敗する人たちに共通するのは、こうした「What」や「How」ばかりに注目していて
肝心の「Who」や「Why」への思慮がうすっぺらいことだと思います。
知識と経験は違うと思う。
知識は熱しやすいですが、時間が経って外気にふれるとすぐに冷めてしまうものでもあります。
経験はそれ自体が熱源なので、どんなに冷えきった状況でも火を灯し続けられる。
経験を通して"この人"の顔が見えないから、相手への理解や熱意が足りない。
相手への理解や熱意が足りないから、機会や継続性につながりません。
だから多くの若者は、いったんは社会起業家といった職業に憧れを抱くものの、
就職活動の時期になって「やっぱり自分には無理だから...」と無難に就職していき、
第二、第三のmotherhouseが生まれないのだと思います。
(あーもうこれ、完全に僕のこといってるんですけどね。苦笑)
日本では失敗が許されない環境下で、みんなチャレンジを怖がってしまうから
という理由もよく耳にしますが、
僕はこうした経験と熱量の関係の方が大きく作用していると思っています。
(だって、結局はリスクへの恐怖が熱意を上回ったというだけの話だから)
さて、少し脇道に逸れてしまいましたが、
では、
なぜ、そんな社会起業家に憧れを抱いてしまうのでしょうか?
なぜ、「What」や「How」といった手法や結果ばかりに目がいってしまうのでしょうか?
なぜ、「こんなかっこいい自分になりたい!」と思うのでしょうか?
僕はその理由をひとことでいうと
「自分が主人公になれる物語への渇望」
だと思っています。
それってどうゆうこと?
なぜ物語を渇望するの?
なぜ社会貢献でなければならないの?
色々と疑問符が出てきてしまいました。
続けて書いていきたいんですけど...
まだジャンプとか算数とかに触れてないんですけど...
このまま続けると、多分倍以上の文量になります。笑
とても読者に優しくないブログになってしまします。笑
なので、前編と後編に分けることにしました。
持ち越して読んでいただけるほどの"ひき"があるかはわかりませんが(苦笑)、
明日までには後編を更新しますので、もしよろしければ、ご覧いただければと思います。
thank you ^^.