前回に続いて戦争もの。さらに私が大好きなジャンルである歴史もの。

タイトル通りナポレオンを題材にした漫画です。ちなみにこのブログでも以前に紹介した「ナポレオン 獅子の時代」はナポレオンの軍人時代を描いたもの。この「ナポレオン 覇道進撃」はナポレオンが皇帝になってからのフランス帝国の戦乱が描かれた漫画です。

獅子の時代は全15巻、覇道進撃は現在25巻で連載中です。この規模の長編歴史漫画はかなり少ないので、もっと認知されてもいいのですが本屋には全然並んでおりません・・・

横山光輝先生の歴史漫画は殿堂入りとして、日本史は「センゴク」中国史は「キングダム」、そして世界史はこのナポレオンではないかというくらいに好きな漫画です。

連載誌がマイナーだからなのか、作画が劇画調だからなのか(徐々にマイルドになっていってます)いまいち人気がないのですが、認知さえされれば歴史好きや戦記物好きには非常に高い評価を受ける作品であると確信しています。

本作品がどんな漫画であるかは以前の「ナポレオン 獅子の時代」の時に複数回に渡って紹介しましたので、今回は覇道進撃の見どころを何度かに分けて紹介します。

まず最初の見せ場がトラファルガー海戦です。

世界最強の海洋国家イギリス艦隊とフランス艦隊の決戦!ナポレオンは海軍を指揮しませんので、この戦いには参加しませんがイギリス側は世界三大提督に数えられるネルソンが指揮しています。

ちなみに獅子の時代でもエジプト沖でフランス艦隊はネルソンに壊滅させられ、ナポレオンのフランス軍はエジプトで孤立することになりました。

開戦前のシーン↓



ゲーム艦これにも導入されたネルソンタッチ



ゲーム艦これにも導入されているネルソンのセリフ

そして艦隊同士のぶつかり合い。描写も丁寧でかつ迫力がある艦隊決戦です。こちらはぜひ作品を読んで実際に目を通していただきたいです。誇張抜きで戦記物として最高峰の戦争が描かれています。

しかし、私がこの巻(覇道進撃5巻)で一番心に沁みたのは一兵士のこのシーン。イギリス艦隊は完勝した後に大西洋の覇権を手にします。そして海に敵がいなくなり、くる日もくる日も海上封鎖という海を見るだけの生活。男たちは海に飽き疲れ陸地を想いながら死んでいった。やがて戦争が終わり軍縮が始まる。

多くの水兵が数年分の給金を使い果たしたのち生活に困窮する

一人の水夫が空腹に耐えかね物乞いになり戸をたたく



お入りなさい友よ、一緒に食事をしよう  (文章は作品から抜粋)

このエピローグが一番印象的です。ネタバレしてしまいましたが、本屋に並ばないレベルで知名度が低い作品ですので良いシーンをあえて紹介しています。

作者の長谷川哲也先生は漫画が非常に上手いです。セリフ回しやコマの使い方、感情描写など作品のいたるところに技が見えます。

この作品が終わりを迎える前に、この作者にスポットライトが当たる日が来ることを切に願います。