池田の恥部を隠してきたドクター四人組の場合

 

 学会員の医者で組織されるグループにドク夕ー部というのがある。その中でも特に有名な四人について取りあげる。


 佐藤潤一は、最近、副会長になった、ドク夕ー部長。妻の嘉代は、第一庶務出身で、池田とのスキャンダルがウワサされた人。佐藤の父は、東京・柳橋で開業医を経営。親子ともに耳鼻咽喉科。


 佐藤玄二は潤一の弟。元学会ドク夕ー部長。やはり耳鼻咽喉科。


 森田修平。副会長、前ドクター部長。元学術部長。横浜日赤病院の外科部長であり、池田の主治医でもある。


 石川信子。学会副ドク夕ー部長。東京・大塚に新生クリニック(通称・石川病院)を経営。産婦人科医。池田の下半身スキャンダル隠蔽に大きく貢献。(中略)


 まず、池田が周りに医者を侍らせる際に重視することは、自らの秘密の保持に大きなウェイトを置く、という点だ。学会員に優秀な内科医、外科医がいないわけではない。ただ池田は、秘密を守れる医者、安心できる医者を選び、自分のそばに置く。

 

 産婦人科の石川信子は、池田の数多くの下身スキャンダルを常に隠し続けてきた。渡部通子も、よく石川の病院に通ったものである。このように池田のみっともない秘密を隠し続けられる神経をもった医者は、そうざらにいるわけではない。世間に知られては困るトラブルの処理に、石川をはじめとする口の堅い医者を当ててきたわけだ。

 

 森田修平もそういった意味での貢献度は高い。第一庶務室長でありながら部下の女子職員と不倫を起こした持永利之と古川敬子が中絶のため出向いたのも、森田のところだった。
                      
 下ネ夕の他にも、池田が人目を忍んで医者を侍らせる理由がある。「病気になるのは信心がないから」と池田がおかしな指導をし続け、「病いは信心不足から」と自分がいっている以上、まさかその本人が病気がちで薬漬けだと世間に知られては、恥をかく。池田は体の強い方ではない。しょっちゅう、学会本部四階の池田専用室に医者を呼んで注射をさせる。池田は注射が大好きである。ただ、池田の血管は大変細く、また贅肉が部厚いため、なかなか針が血管に入らない。医者が汗だくになった池田の腕に針を剌そうとする。池田はいい気なもので「早くしろ、早く!」と急き立てる。

 

 また、池田はしょっちゅう目の痛みを訴える。耳鼻咽喉科の佐藤を呼びつけるのだが、目の痛みに耳鼻科の医者とは、はてさて? 明らかに、病気を世間に知られたくないためといわざるをえない。

『スキャンダル・ウォッチング』239頁