夫より池田を愛した女王蜂・秋山栄子の場合

 

 池田は常々説いてやまない。


 「夫婦よりも親子の方が関係は深くて強い。そして親子よりさらに大切なのが、師弟の関係だ。」

 

 池田のいいたいのは、夫婦や親子の情に流されるよりも師匠である私を大切にせよとの、師弟関係最優先論である。


 その教えを文字通り実践したのが、婦人部長の秋山栄子である。そういう妻をもつと亭主がいかに苦労し悩むかを地で示したのが、秋山富哉である。あげくに、病院で死ぬことさえ許されず学会施設に隔離され、監視されて五十九歳の呆気ない最期を迎えた。死期の近いことを悟った富哉が、妻と池田とのスキャンダルを暴露するのを学会から警戒されたのである。


 「池田名誉会長の専用施設で、ご本尊に見守られながら死ぬなんて、最高の栄誉」


 まことしやかな“美談”が婦人部幹部の間で伝えられたが、実際には池田スキャンダル情報の流出防止のため、死の二、三週間前に病院からムリヤリ連れ出されたのだった。
                      
 秋山栄子は、夫の富哉よりも師匠の大作を愛し、かつ大切にした。しかも、そのことを学会内で誇示する始末だった。池田は栄子を学会婦人部長に起用し、長い間“女王蜂”“女大作”として振る舞わせた。

『スキャンダル・ウォッチング』115頁