一家ぐるみで口説かれた上田京子の場合


 池田のお手つき女と結婚したために破格の出世をした、髪結いの亭主No.1が、上田雅一だ。二人は池田の命令で結婚した仲。しかし、結婚後、雅一は妻との結婚生活がうまくいかず、友人によく悩みを打ち明けた。

 

 京子はもともと大手出版社に勤めていた。彼女を女子部の会合で一目みた池田は「あれを本部に入れろ。第一庶務勤務だ」と北条浩に命令。北条はさっそく京子に会い、会社をやめて本部に入るように説得した。が、会社でも大事にされていた京子は、なかなか会社をやめるといい出さない。そこで、北条は池田の指示により京子の父に会った。「会館の管理人として家族ぐるみ一生、いや、孫子の代まで面倒を見る」と奥の手を使って口説いた。結局、一家は池田の世話になることとなった。

 やがて、彼女は池田のメガネに適った上田雅一と結婚。雅一は若くして副会長、壮年部長とトントン拍子に出世した。だが、こんな夫掃の関係がうまくいくわけがなかった。結婚したあと半年間はギクシャクした関係が続いた。その頃、雅一は友人に悩みを訴えている。雅一が友人に「○○も池田先生と関係がある」と女性の名前を挙げたところ、その数は十余人に及んだ。友人は「キミの奥さんもか」と雅一に尋ねると、雅一は苦渋に満ちた顔で否定しなかつた。

 京子は結婚後、第一庶務室兼白雲寮管理人になった。白雲寮は学会本部のすぐそぱにある。池田はよくこの寮を使った。雅一は昼間は本部にいて、夜遅く帰ってくる。池田は、雅一のいない間に白雲寮にやってくるのだ。雅一の悩みの一つに、自分の妻が池田の体液が付いている下着を洗濯させられることがあった。雅一は、一時は真剣に離婚を考え、友人たちに池田への恨みをぶちまけた。

 京子はその後、夫に悪いと思ったのか自分から折れて、やっと正常な夫婦関係になった。そうなった後でも、池田は京子に自分の身辺の世話をさせる。今度は、京子の方が池田に嫌気がさしてきた。他の女性の口紅の付いたパンツを洗濯させられるのは、さすがに我慢しきれなかった。雅一にグチをこぽすようになる。

 夫婦そろって池田に嫌気がさしたことになる、この二人。今のところ、アンチ池田の旗を掲げる気配はない。結局、自分たちの生活、学会内での地位、名誉、そういったものの総てが、池田におんぶにだっこで成り立っていることを知っているからだ。池田にしてみれば、京子とは単なる男女関係であるだけではない。同時に、側近である雅一の忠誠度を試し、プライドをへし折って自分に従わせるための、池田特有の人心操縦手段なのである。

『スキャンダル・ウォッチング』74頁