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龍馬のブログ

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浅田良和王子の『白鳥』と『眠り』

 男のバレエファンのものです。バレエを本格的に観るようになってからまだ年数は浅いですが、バレエの観客にもっと男性客を増やしたいと野望(!?)を抱いております。

 このたび、ダンサーの皆さんをはじめとするバレエ関係者やファンの方のブログをもっと気合いを入れて読んでみたいと思い、アメブロの会員になりました。早速ですが、応援しているダンサーの浅田良和さんが、一週間足らずの間に『白鳥の湖』のジークフリート王子と『眠れる森の美女』のデジレ王子を演ずるのを拝見し、大いに感激し満足しましたので、その感想を書き留めます。
 いやあ行って良かった! この数カ月間感じていた、浅田さんの踊りに対する自分の飢えや、この次はいつ観られるだろうかという心配・不安が、秋空のように晴れる思いがしました。

<Contents>
1、 浅田良和さんのこと
2、 第27回武蔵野シティバレエ定期公演『白鳥の湖』
3、 Imai Jazz & Ballet Studio 27th Performance


1、浅田良和さんのこと

 浅田さんの舞台を、ボクはKバレエカンパニーにデビューされた2009年5月の『ジゼル』で初めて拝見しました。20歳の彼が農民役たちのトップでソロを踊るところ観た時には、美しいプロポーションで華やかに、かつ何とも言えない細やかなリズムを膝のあたりで刻みながら踊る姿に、いきなり心を掴まれました。「こういうダンサーの登場をボクは待っていた!」と、大げさな表現ではありますが体に電気が走るように確信し、以降、バレエファン仲間には「観客が若手ダンサーに期待するものを全て持った人」と紹介して、興味を感じてくださった方には彼の舞台を観て頂くことをお勧めしてきたものです。
 そしてこれからも変わらずに、そしてもっともっとKバレエの舞台の中心近くで踊っていく人だと信じて、微塵も疑うこともなく応援してきましたので、今年の9月にKバレエ退団を突然に知らされたときには、本当にショックで、なんともいえぬつまらない思いをしました。
 その直前の「トリプル・ビル」公演では、プログラムに掲載されているリハーサル風景の写真では浅田さんは一番前で写っているのにもかかわらず、公演当日は何故か御出演が無くて嫌な予感がしていたのですが・・・ 6月の『海賊』で評価の高い酔いどれ海賊を闊達に踊るのを拝見して以来、彼の舞台からひき離されたのは5ヶ月間ほどのことではありましたが、ファンとしては飢えや乾きを感じ、情報が無い故にこの次にはいつ観られるのであろうかと心配や不安が募らせておりました。

 退団の理由には身体の故障の影響もあったのではないかと推察します。退団後に浅田さんはブログを立ちあげられ、日々の活動や舞台の予定はそちらで教えてもらえるようになったので、ボクは情報量が増えてだいぶ救われました。かえってファンとの距離は縮まったようにすら思います。故障の件はこちらのブログで、今回の『白鳥の湖』の舞台が終わった後に教えられました。恐らく御自身も予め知らせることにはためらいがあり、自分で自分の舞台の成果を確かめてから、ブログに書くことを決められたのではないでしょうか。体調に不調を来たし、その為に手術を受けることの是非も含めて色々な進路の選択を迫られたことと思います。ダンサーは体が資本ですから、特に辛い思いをされてきたのではないでしょうか。その末に5カ月ぶりに舞台に立ち演じた今回の役々には、このあたりの事情も知らずに観た時から、第一に彼自身が踊ることにとても喜びを感じている様子が感じられました。嘘できれい事にまとめる気持ちはありません。当日の浅田さんの踊りには本当に喜びがあふれ、舞台での再会を待ち望んだファンは大いに満たされたのです。

 では各舞台の感想をもう少し詳しく。



2、第27回武蔵野シティバレエ定期公演『白鳥の湖』(11/18(日)15時開演@武蔵野市民文化会館大ホール)

(1)ダンサーのこと

 浅田さんが、同じくKバレエで活躍されていた副智美さんと、『白鳥の湖』を主演すると知ったときは、是非とも観に行って渇きや寂しさを癒そうと思ったものでした。しかし、入場券は前売り開始後に即日完売!退団に次いで強いパンチを食らったように感じました。ちなみに、上述の『ジゼル』でデビューされた時の舞台のパートナーも副さんでした。
 ところが前日になって券が有りますよ、とブログで声をかけてくださったので、急いで1枚お願いして勇んで出かけました。前日の荒天がおさまり、からりと晴れた秋晴れの日曜日に、三鷹を目指して乗り継いだ電車は、いずれも心地よく武蔵野を走り抜けていきました。会場である武蔵野市民文化会館大ホールには、毎度のごとく開演ぎりぎりに滑り込みです。

 いよいよ浅田さん演じるジークフリート王子の登場ですが、舞台に現れただけでボクは安堵感を感じ、ほっとしました。Kバレエを退団しただけなのに、浅田さんの舞台姿はもう永遠に見られなくなるのではないかぐらいに心配しておりましたので、序幕で、登場の音楽や貴族たちに迎えられて颯爽と舞台の奥から現れた時は本当にうれしかったです。
 続く第一幕第一場後半の王子のソロ(一人舞台)には、心がグッと掴まれました。母である女王から、成人に成ったのだから遊んでいないで花嫁を選びなさ~い、と命じられた後に一人残され、夕暮れが迫り照明が落ちた舞台で、少年から大人になることに戸惑いを感じて物思いに沈むこの場面は、音楽も絶妙でもともと大好きなのですが、この日の舞台は格別でした。浅田さんが一人になった途端に大きくなったかの様に見え、言葉に代えて次々と美しいポーズで心の内を語るところが、本当に美しくて瑞々しく、それが浅田さんらしくてとても良かったのです。浅田さんからも、並々ならぬ気合いを感じました。現実的な話しですみなせんが、ここまでで既にチケット代以上に満足をしました。
 浅田さんの足やつま先が美しいのは、何しろ熊川さんから“バレエを踊ることには理想的な足の持ち主”と絶賛されたほどですから当然のこととしても、今回の舞台では、彼が美しいフォームをかたちづくることには左手が重要な役割を演じていることに気づきました。自分の数少ないバレエ鑑賞経験の中でのことではありますが、今までにこのようにしなやかで美しくて雄弁な、男性ダンサーの左手を観た記憶がありません。

 続く第一幕第二場。
 副さんのオデットは、湖の水の冷たさも感じさせるように、透明感があり儚げで、思わず抱きしめて温めたくなるような(妄言お許しを!)、ナイーブな印象のものでした。踊りはしなやかで、繊細です。登場したときに、水鳥が顔の水をブルブルっとふりはらうような演技をされていたのが印象に残りました。魔法により白鳥の姿に変えられたオデット姫が、夜だけ娘の姿に戻るその瞬間に、自ら鳥の姿を振りはらって人間に戻るところを垣間見た様にも思いました。
 TVで放映された熊川さんの『情熱大陸』では、浅田さんが2年前にジークフリート王子を初めて演じた時に、カンパニーの練習場で、熊川さんが浅田さんに懇切丁寧に教え、特訓している場面がたくさん出てきます。湖で出会ったオデットとジークフリートが初めて言葉を交わす場面のマイムを、一つ一つ言葉を積み重ねるよう教えたり、リフトする際の浅田さんがオデットの腰を持つポジションが良くないとわかると、熊川さんが王子のパートに回って浅田さんにオデットを演じさせながら浅田さんの腰をもって持ち上げ、リフトされる側の立場を理解させるような、驚きの場面もあったりします。今回の浅田さんと副さんも、この場のマイムをとても丁寧に演じているように感じました。

 第二幕の、王子と黒鳥のパ・ド・ドゥは、意中の人と再会出来た(と誤解した)王子の喜びと、浅田さんの踊ることへの喜びがオーバーラップして、ドラマ以上に楽しみました。後から手術後初の舞台であったこと知り、この印象は正しかったのだと確信しました。
 浅田さんにも副さんにも、武蔵野の舞台は狭いようですね。例えばフェッテの時は舞台の最も奥に下がって躍り始め、舞台を回る回転の時は深く広く使っていました。大きく大きく、丸く丸く、飄々、凛々、と爽やかに踊るオデットと王子を観ていて胸の空く思いです。浅田さんがしっかりと5番の足で着地して持ち場を終えた時に笑みを漏らしていたのは、今思えば、手術後の舞台でもしっかりと着地を決めることが出来たことで、思わず漏れた会心の笑みではなかったのでしょうか。

 ところで、片足立ちし、音楽にのってグルグルと回る大技の「フェッテ」を踊っているとき、ダンサーの皆さんは頭の中で何を考えているのでしょうか?王子の浅田さん、オディールの副さんの他に、今回の舞台では道化も1幕に同様の回転をします。後述する通り市民バレエなのでこの役はオーディションで選ばれた方が踊りましたが、終演後にロビーに出てきたこの役のダンサーと思しき人は、高校生ぐらいの男の子に見えました。彼にはこれまでにどのくらい舞台の経験があり、また今後は本格的にダンサーの道に進むのかはわかりませんが、大人に交じって大役を踊る姿に、無の境地で役を演じ踊りながらもこの瞬間を一生懸命に生きている様子が伺えて、彼の人生の華やかで大切な一コマに立ち会えたことに喜びの様な気分の高揚を感じました。

 さて、大団円の第三幕。今回の『白鳥の湖』は、二人の愛がロットバルトの魔法を凌ぎ、王子がロットバルトを打ち負かすハーピーエンドですが、爽やかな秋空には相応しい結末だと思いました。


(2)武蔵野シティーバレエについて

 この「武蔵野シティーバレエ」は、一回の公演のためにオーディションで選ばれたダンサーがいわば「武蔵野シティーバレエ団」を結成し、主役にゲストを迎えて全幕物を上演するもので、年一回の公演ですが今年で27回を迎えたそうです。Kバレエのダンサーが出演しているのでここ数年気になっていたのですが、今回初めて拝見し、27年も続けてきた公演に携わられる皆様の情熱や尽力は、大変なことだと思いました。特に今回の舞台を創り、観せて下さった皆様にも御礼を申し上げたいです。

 演出面では、第一幕の宮廷の庭園と湖の場面の舞台の背景が、白や淡い青・緑を基調に描いたヨーロッパの風景なので、東山魁夷の絵を思い起こして楽しみました。その背景の前を、第一幕第一場では白鳥が斜めに飛びたち、第二場では王冠をつけた白鳥が泳いで過ぎていく、そんな伝統的な演出がうれしかったです。


3、Imai Jazz & Ballet Studio 27th Performance(11/23(日)18時開演@横浜・関内ホール)

(1) ダンサーのこと

 こちらは教室の発表会ということでしょうか。この中で『眠れる森の美女』の第三幕が「オーロラの結婚」というタイトルで上演され、浅田さんはデジレ王子を演じました。オーロラ姫は教室の講師の今井あやかさんです。
 浅田さんの踊る場面は、実質的には終幕のパ・ド・ドゥが中心になるので、『白鳥の湖』に比べれば登場時間は格段に短いですが、ジークフリートに比べて一段格式が高く、おっとりと優雅に踊られていました。ジャンプも高く、フワリと降りる感じです。

 こんなに短期間にジークフリートとデジレを見比べることになると、同じチャイコフスキーのバレエの王子であっても演じ分けには何か違いがあるのだろうな、と観終わった後に考えました。そこで得た答えは、今回の浅田王子で二役を拝見して感じた印象が、そのまま役の内容や性格の違いであるのだろうと思いました。年齢的にはジークフリートの方が若く、その分まだ少年から成年への移行期にありますが、一方のデジレは、同じく華やかで輝く王子でありながらも既に人の上に立つ立場に何年かあって、年齢的にも人間的にももう少し熟しているのかと。大変なドラマに巻き込まれる点では二人とも同じですが、ジークフリートの方がまだ幼いので心の隙をついて悪魔に魅入られますが、デジレはリラの精に選ばれた人間として、運命を開くごとくオーロラの眠るところに向かっていき、彼女を百年の眠りから覚まさせることが出来るのだと思います。
 是非とも、浅田さんのデジレ王子で、『眠れる森の美女』も全幕を拝見したいものです。いずれの王子役も、ダンサーが先ずは役に選ばれる必要があります。「選ばれる」という意味は、演出家やプロデューサーがキャスティングする作業のことを指しているのではなく、ダンスの技術のみならず、品や雰囲気等の王子役に自ずと相応しいものを備える必要がある、ということを言いたいのですが、この点、浅田良和さんは白の王子の衣装も本当にお似合いで、立派に役のニーズに応えていると思います。

 教室の発表会ということで、バレエについては男性ダンサーの出演は少なく、大人の役は王子と青い鳥だけでしたが、その青い鳥はKバレエの愛澤佑樹さんが踊りました。愛澤さんはこの教室でバレエを始めてからK-Ballet Schoolに進まれたようです。Kバレエの公演以外でもKのダンサーに遭遇できるとうれしいもので、自ずと注意が向くのですが、彼はソロで踊っているとき以外でも舞台の上を動くときは、腕を飛んでいるときの翼のようにゆっくりと上下させているところに気付きました。青い鳥という役はその様に演じるものであったのですね。何回も観ていながら気づいておりませんでした。

(2)その他の演目について

 後半はジャズダンスとタップダンスで、こちらも本格的で十分に楽しみました。ヒップホップやミュージカルのダンスシーンもあれば、力強いタップも見ごたえがあります。詳細は省略しますが、バレエとそれ以外のダンスが混じるのもなんだか横浜らしいと感じ、この日も得した気分でホールを後にしました。熊谷和徳のカンパニーからきたゲストの皆さんは、男も女もカッコいい!大いに盛り上げて、決めてくれました。

以 上