休日のお昼すぎのことです。
私は、
ふと、
お腹が空いたなと思いました。
そこで、
キッチンへ向かい、
冷蔵庫のドアを「スーッ」と開けました。
これは、
よくある光景です。
でも、
ここからが問題でした。
私はそのまま、
冷蔵庫の前で、
完全に動きを止めてしまったのです。
それは、
一体なぜなのでしょうか。
実は、
冷蔵庫の中が、
あまりにも平和だったからです。
たとえば、
奥の方に、
ポツンと佇む『豆腐』が一つ。
手前には、
賞味期限が少しだけ心配な『卵』が二つ。
そして、
使いかけの『マヨネーズ』です。
これだけでした。
思った以上に、
食材がありませんでした。
こういう時って、
頭の中が真っ白になりませんか。
私は、
冷蔵庫の冷気を全身に浴びながら、
しばし遠い目をしてしまいました。
これは、
単なる食材不足ではありません。
人によっては、
人生の選択を迫られているような、
そんな重みを感じる瞬間なのです。
少し、
話しは変わりますが、
みなさんは、
こういう経験、
ありませんでしょうか。
お買い物に行くのが、
なんだか面倒くさい日。
外に出て、
太陽の光を浴びるのすら、
少しだけ億劫な日。
そういう日って、
どうしてもありますよね。
私の場合は、
まさにその休日でした。
「せっかくのお休みだから、
美味しいものでも作ろうかな」
そう思っていたはずなのに、
いざ冷蔵庫を開けてみると、
現実の厳しさに直面するのです。
ここで、
いったい、
どうすればいいのでしょうか。
問題は、
『お腹の空き具合』と『気力のなさ』のバランスです。
お腹は確実に空いています。
「グー」とまでは言いませんが、
確実に、
何かを求めています。
でも、
私の体は、
ソファから離れたくと言っています。
こういう矛盾って、
おかしなものですね。
私は、
冷蔵庫のドアを閉めました。
「パタン」と、
静かな音が響きました。
リビングに戻り、
ふたたびソファに沈み込みます。
あたたかいクッションに包まれて、
天井を見上げました。
ここで、
私は考えました。
冷蔵庫にあるのは、
卵と豆腐とマヨネーズ。
これだけで、
何かできないものでしょうか。
いや、
できないことはありません。
たとえば、
全部を混ぜて焼いてみる。
『謎のオムレツ』のようなものが、
できるかもしれません。
でも、
なんだか、
それも違う気がします。
せっかくの休日なのだから、
もう少し、
心オドル食事がしたいのです。
そう考えると、
料理って、
ただお腹を満たすためだけの作業ではないのかもしれません。
自分の気分を上げるための、
小さな儀式のようなものなのだと思います。
だからこそ、
食材が何もないという現実に、
少しだけショックを受けてしまうのです。
ここで、
私は立ち上がりました。
負けたままでは、
終われません。
もう一度、
キッチンへ向かいました。
そして、
今度はシンクの下を開けてみます。
すると、
奥の方から、
懐かしいものが出てきました。
『乾麺のうどん』です。
賞味期限は、
かろうじてセーフでした。
これは、
ちょっと嬉しかったです。
こういう、
思いがけない発見って、
なんだか宝探しみたいでワクワクしますよね。
スープはありません。
でも、
お醤油と、
お砂糖と、
めんつゆの元らしきものがあります。
なんとかなる気がしてきました。
私は、
お鍋にお水を入れました。
「ボコボコ」と、
お湯が沸騰する音を聞きながら、
ネギを切りました。
冷蔵庫の隅で忘れられていた、
少し乾燥気味のネギです。
でも、
細かく刻んでしまえば、
立派な薬味になります。
うどんを茹でて、
冷水でキュッと締める。
お皿に盛り付けて、
ネギを乗せて、
卵の黄身を真ん中に落とす。
出来上がったのは、
『お手製ぶっかけうどん』です。
見た目は、
想像以上に、
それっぽくなりました。
私は、
ダイニングテーブルに座り、
お箸を手に取りました。
「いただきます」
一口、
食べてみました。
思った以上につるつるしていて、
コシもしっかり残っています。
お醤油の香ばしさと、
卵のまろやかさが、
口いっぱいに広がりました。
こういうのって、
やっぱりいいですよね。
豪華なレストランのランチも素敵です。
おしゃれなカフェで食べるパンケーキも、
休日らしくて大好きです。
でも、
家にあるもので、
なんとなく形にしてしまったお昼ご飯も、
これはこれで、
すごく贅沢な時間な気がします。
お金をかけなくても、
ちょっとした工夫で、
日常は楽しくなる。
そんな当たり前のことに、
改めて気づかされました。
お腹も心も、
すっかり満たされました。
外の空気を吸いに行くのは、
また次の機会にすることにします。
たまには、
冷蔵庫の前で途方に暮れるのも、
悪くないかもしれません。
みなさんは、
冷蔵庫に何もない時、
どうやって乗り切っているでしょうか。
ちょっと気になったりします。
さて、
お皿を洗ったら、
お気に入りの本でも読もうかなと思います。
こういう、
のんびりした時間って、
本当に大切ですよね。
また今度、
今度はちゃんと計画を立てて、
お買い物に行こうと思います。
お皿を洗い終わって、
キッチンの片付けがすっきりと終わると、
なんだかそれだけで、
ちょっと誇らしい気持ちになります。
泡をきれいに洗い流して、
ふきんで水滴を拭き取る。
こういう何気ない家事のあとにやってくる静かな時間って、
すごく好きなんですよね。
リビングに戻ると、
カーテンの隙間から、
やわらかな午後の一筋の光が差し込んでいました。
お部屋の中に、
ふわりと光の帯ができていて、
なんだかそれを見ているだけで、
心がほぐれていくような気がします。
ソファに腰を下ろして、
さっそく、
お気に入りの本を開いてみました。
ページをめくると、
紙の優しい匂いが鼻をかすめます。
電子書籍も便利でいいけれど、
やっぱり、
この紙の質感を指先で感じる瞬間が、
私はたまらなく好きです。
ページをめくる音も、
なんだか心地よい音楽のようです。
こういうのって、
五感(ごかん)が喜んでいるというのでしょうか。
体全体が、
じんわりとリラックスしていくのを感じます。
外に出かけて、
新しい景色に出会うのも刺激的で素敵です。
新しいお店を見つけたり、
季節の花を愛でたりする時間は、
かけがえのないものです。
でも、
家の中で、
自分のお気に入りのものだけに囲まれて過ごす時間も、
それに劣らず、
とても贅沢なものだなと思います。
どちらが良いというわけではなくて、
その時々の気分で、
選ぶことができる。
そういう心の余裕を持つことこそが、
本当の豊かさなのかもしれません。
そういえば、
この本を初めて買ったのは、
去年の秋のことでした。
ちょっと遠くの街まで、
一人でお出かけした日です。
ふらっと立ち寄った小さな本屋さんで、
この表紙に一目惚れしたのを覚えています。
あの日は、
たしか、
秋晴れの気持ちのいいお天気でした。
駅からのんびりと歩きながら、
街路樹の葉が少しずつ色づいているのを見て、
「季節が変わるんだな」なんて、
ぼんやりと思ったのを思い出します。
街の空気が、
少しひんやりとしていて、
でも太陽の光は温かくて。
あの日の記憶が、
この本のページをめくるたびに、
よみがえってくるのです。
モノには、
それぞれ記憶が宿るものなのですね。
ただの紙とインクの束なのに、
私にとっては、
あの日の思い出を呼び起こしてくれる、
大切な宝物のような存在になっています。
そう考えると、
身の回りにあるもの一つひとつに、
もっと優しく接したほうがいいのかもしれません。
雑に扱ってしまうことも多いけれど、
これからは、
もう少し心を込めて、
モノと付き合っていきたいなと思いました。
みなさんは、
お部屋の中に、
そんな特別な思い出の詰まったものはあるでしょうか。
ふと、
そんなことを考えてしまいました。
読書をしているうちに、
だんだんと太陽の光が傾いてきて、
お部屋の雰囲気が少しずつ変わっていきます。
さっきまで明るかったリビングが、
ゆっくりと夕方のオレンジ色に染まっていく。
この、
昼から夜へと移り変わる時間帯が、
一日のうちで一番好きかもしれません。
少し切ないような、
でも温かいような、
不思議な気持ちになります。
お腹が満たされて、
心も休まって、
お気に入りの本の世界に浸る。
今日の休日は、
特別なイベントは何もなかったけれど、
十分すぎるほど充実していました。
遠くまで行かなくても、
お金をかけなくても、
自分の工夫と気持ち次第で、
休日はいくらでも楽しくできる。
そんな当たり前のことを、
改めて教えてもらった一日でした。
さて、
そろそろ夕飯の支度のことも考えないとですね。
冷蔵庫には何が残っていたっけ。
お昼ご飯であらかた使ってしまったから、
今度は本当に、
買い出しに行かないといけないかもしれません。
でも、
それすらも今は、
なんだか楽しみなイベントに思えてきます。
夕方の少し涼しくなった空気の中を、
お気に入りのエコバッグを持って、
スーパーまでお散歩する。
そんな風に考えると、
今日の夕飯の支度も、
ちょっとしたお出かけの続きのように感じられます。
重い腰を上げて、
そろそろソファから立ち上がろうかな。
伸びをひとつすると、
凝り固まっていた体が、
すっきりとほぐれていくのが分かりました。
明日からまた、
それぞれの日常が始まります。
仕事だったり、
家事だったり、
あるいはまた別の忙しい日々が待っていることでしょう。
でも、
大丈夫な気がします。
今日、
こうしてたっぷりとエネルギーをチャージできたから。
自分の機嫌は、
自分でちゃんと取ってあげられる。
そんな小さな自信を胸に、
また明日からも、
私なりのペースで過ごしていこうと思います。
夕暮れの空は、
きれいなグラデーションを描いていました。
明日も、
いい一日になるといいな。
そんなことを思いながら、
私はゆっくりとキッチンへと向かいました。
キッチンの電気をつけると、
ぽっと温かい光が広がります。
冷蔵庫を開けて、
中身を順番に確認していく。
特売で買った豚肉と、
昨日残ったお野菜。
これらを組み合わせて、
何を作ろうかと考える時間も、
けっこう好きだったりします。
パパッと手早く作るのもいいけれど、
休日が終わるこの静かな夜は、
少しだけ手間をかけてみるのも悪くありません。
たとえば、
お鍋にたっぷりの出汁をとって、
お野菜をコトコト煮込んでみる。
お部屋の中に、
だしのいい香りがふわっと漂う。
こういう匂いを感じているだけで、
なんだか心がほっと落ち着いていくから不思議です。
忙しい平日は、
どうしても時間に追われてしまいます。
朝はバタバタと朝食の準備をして、
夕方は帰ってきてから一気にごはんの支度。
ゆっくり料理と向き合う余裕なんて、
なかなか持てなかったりします。
でも、
お休みの日くらいは、
自分のペースでゆっくり動く。
そんな小さな贅沢が、
明日への活力になってくれるのです。
野菜を切るトントンという音が、
静かなキッチンに響きます。
無心になって包丁を動かしていると、
頭の中のモヤモヤした考え事も、
自然と消えてなくなっていきます。
いわゆる、
『マインドフルネス』
みたいなものなのでしょうか。
難しいことはよく分かりませんが、
目の前の作業だけに集中する時間って、
大人にとってもすごく大切なんだと思います。
そういえば、
この間買った新しいお皿が、
食器棚の奥にありました。
せっかくなので、
今日の夜ご飯は、
そのお皿に盛り付けてみようかな。
お気に入りのお皿を使うだけで、
いつものお料理が、
ちょっとお店のものみたいに見えたりします。
こういう小さな工夫で、
毎日の食卓が楽しくなる。
特別な旅行に行かなくても、
高いレストランでディナーを食べなくても、
日常の中に『ワクワク』を見つけることはできるのです。
問題は、
それを私たちが楽しめるかどうか、
それだけなのかもしれません。
あ、
お鍋のお湯が沸いてきました。
湯気がゆらゆらと立ち上って、
キッチンの窓ガラスを少しだけ曇らせています。
外はすっかり暗くなって、
夜の静けさが街を包み込んでいました。
あたたかいスープを一口飲んだら、
きっと体の中からじんわりと温まることでしょう。
今日の献立は、
特別なものではありません。
冷蔵庫にある普通の食材で作る、
いつもの我が家の味です。
それでも、
今日はなんだか、
すごく特別な晩ごはんになる気がします。
休日の最後を締めくくるのに、
こんな風に穏やかな時間を過ごせるなんて。
本当に、
いい一日だったなと思います。
お鍋の火加減を少し弱めて、
私は小さく息をつきました。
さあ、
もうひと頑張り。
おいしいごはんを作って、
今日の楽しかった余韻に浸りながら、
ゆっくり味わうとしましょうか。
みなさんは、
どんな休日を過ごされたでしょうか。
おいしいものを食べて、
お気に入りの場所に出かけて、
心も体も、
しっかり休めることはできたでしょうか。
もし少し疲れてしまったなら、
今夜はぜひ、
あたたかいお風呂にでも入って、
自分をたくさん労ってあげてくださいね。
私たちは毎日、
がんばりすぎてしまうところがありますから。
自分のことは、
自分が一番に大切にしてあげたい。
そうやって、
自分を優しく包み込みながら、
また新しい一週間を、
軽やかな足取りで始めていけたらいいなと思います。
それでは、
今夜はこの辺で。
みなさんも、
どうぞあたたかくして、
ゆっくりお休みになってくださいね。
また次の休日まで、
それぞれの場所で、
ちいさな幸せをたくさん見つけられますように。