〈会長参上いたしました〉52 黒糖焼酎文化を発信する佐野仁美さん | 料飲稲門会公式ブログ

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今回も素敵に頑張るワセジョの登場です。

友人の実家である奄美の西平酒造で営業を担当

して杜氏見習いの友人とタッグを組んで黒糖焼

酎文化を国内でさらには世界に向けて発信し続

ける佐野仁美さんに<会長参上いたしました>

52の舞台に上がってもらいました。

素敵で元気の出るお話です。

 

こんにちは。

石井酒造の酒蔵訪問以来ですね。

今日はよろしくお願い致します。

ところで

学生時代はどのようにお過ごしになってい

ましたか。

 

大学時代は、演劇と音楽の活動をしておりまし

た。

それらに情熱を燃やしはじめたきっかけは、大

学二年生の時に東京英語劇連盟(Model Prod

uction)というミュージカル団体に参加したこ

とです。

 

その活動の中でハリウッドのキャスティングデ

ィレクターである奈良橋陽子氏や、

グローバルに活躍する女優の菊池凛子氏などと

関わりを持つことで、

世界規模で物事に取り組む意識を知ることがで

き、大変有意義でした。

 

サークルや学内の団体に所属せずに活動をして

いたため、同窓の友人が非常に少ないのが寂し

いところですが、モノ作りや発信の場で、環境

も世代も全く異なる方々とご一緒する機会が多

かったことは、現在の仕事を進める上で必要な

経験だったのではないかと解釈しています。

 

素敵な学生生活でしたね。

社会人になってからの経歴を教えてくださ

 

卒業後は株式会社ユニクロに入社しました。

2011年3月に入社してすぐ、店舗の中で震

災を経験したことは忘れがたい経験です。

 

それから約4年間は都内の超大型店と呼ばれる

店舗のフロア店長としてチェーンストアの経営

を学びながら日々の業務にあたっておりました。

 

その後、2015年に前職を退職後、奄美黒糖

焼酎メーカーである西平酒造に入社しました。

 

お仕事をしている酒蔵との出会い。

その仕事内容を教えてください。

 

蔵元との出会いは8年前、現在の杜氏見習い

(弊社社長の長女)と音楽劇で共演したことが

きっかけです。

 

彼女もまた高校卒業後奄美大島を出てから東京

で演劇や音楽の活動をしており、公私ともにと

ても親しくしていました。

 

そんな中、彼女が突然奄美大島に帰ったという

ことを知ったのは、彼女が東京を離れて1ヶ月

ほどたってからのことです。

 

私はいてもたってもいられず真相を聞く為に初

めて島を訪れました。

 

その滞在期間中知ったのは、当時の蔵元の経営

状態が最悪であることと、奄美大島に溢れる魅

力の数々。

 

導かれるように私は黒糖焼酎の営業マンになる

ことを決意しました。

 

現在担当しているのは島外の営業です。

 

杜氏や工場スタッフとコミュニケーションをと

りながら、お取引先と共に販売促進の施策を練

ったり、実際に一般消費者の方のご意見ご感想

を直接伺うことで、より良い酒造りやより楽し

い酒文化の追究・創造を目指しています。

 

とは言っても、小規模な蔵元ですから、

時には瓶の首にかけるPOPを作成したり、商品

を出荷する準備をするなどの雑務も行います

し、そういったことも楽しみながら日々の業務

にあたっています。

 

出会った頃お互い10代だった友人とは、時を

経て信頼し合えるビジネスパートナーとなりま

した。

 

今では杜氏見習い&営業マンとして黒糖焼酎

を、音楽ユニットとしてセルフプロデュース

の音楽を、世界に向けて全力で創造していま

す。

 

笑われたっていい。全力です。

 

(ちなみに、”バッカニアンバッカス座”という

ユニット名で月に1曲、iTunesやAmazon

 Musicなどから音楽を配信しています。

バッカスとは酩酊の神のこと。

私達はどこまでも酒を愛しています。)

 

貴方の黒糖焼酎はこくがあって飲みやすく

すばらしかった。

セールスポイントを語ってください。

 

ありがとうございます。弊社の代表銘柄は

「加那」と「珊瑚」です。

それぞれ注目していただきたいポイントが

ございます。

 

まず、「加那」は原酒をタンクで寝かせた

後に樫樽で寝かせています。

そうすることで黒糖と樽の風味がバランス

よく広がる焼酎になり、桑原会長のおっし

ゃる「こく」に繋がります。

 

また、「珊瑚」は原酒をタンクで寝かせた

焼酎です。

長らく定番焼酎としてご愛飲いただいてお

りましたが、この度、これまでよりも黒糖

の香りを強く引き出す為に製造方法を今一

度丁寧に見直しました。

 

結果として国税局の鑑評会では優秀賞、

全国酒類コンクールでは1位を受賞するな

どこれまでにない評価をいただき、

これからがより一層楽しみな焼酎になりま

した。

 

日本の酒はグローバル社会で生きていく

時代。

黒糖焼酎をどのように位置づけています

か。

 

和食ブームと共に世界に先ず注目されたの

は、本格焼酎ではなく日本酒でした。

 

さらに、海外における焼酎とは韓国製の度数

の低いものが一般的で、またその他のハード

リカーと比較してみても日本の本格焼酎の浸

透度は圧倒的に低いのが現状です。

 

そんな中、県商工会の力を借りて、昨年より

ドイツにて黒糖焼酎を広める動きが始まりました。

 

黒糖焼酎は、世界で唯一、奄美群島でのみ製造

されているお酒です。

 

美しく広がる海の音や島に暮らす生物の息づか

い、どこからともなく聞こえてくる島唄に耳を

傾けながら、自由に楽しまれているお酒です。

 

こんなにも独特で興味深いことは他のお酒に

はありません。

 

海外への歩みは始まったばかりですが、日本

酒でもなく、(同じサトウキビを原料とする)

ラム酒でもない、”奄美黒糖焼酎”を「日本の職

人魂」「奄美の文化」というキーワードと共に

世界に根付かせたいと考え、私達は蔵元として

試行錯誤を繰り返す次第です。

 

最後に料飲稲門会へ一言

 

母校の繋がりで様々な方とお会いすること

ができ、嬉しく思っております。

 

正直なところ、世間では「外食」あるいは

「酒」という言葉を軽視する考え方が少な

からず存在するかと思います。

 

何故なら、それらがなくても死にはしない

からです。

 

明日の栄養源が外食である必要も、喉の渇

きを潤すものが酒である必要もないからで

す。

 

それでも、人の体内に入って、明日、頑張

る活力になったり、遥か未来、思い出を彩

ることになったり、少し疲れたからあの人

が作ったものを食べたいとか、

その蔵元のことを語るのが面白くてつい笑

ってしまうとか、

喜怒哀楽に寄り添いながら可能性を無限に

広げるのが「外食」であり「酒」であると

私は考えます。

 

それらを扱う職業に、私は心から誇りを持

っています。

 

これからも営業マンとして様々な土地に出

向くことになりますが、もしその先で出会

うことがあれば是非是非料飲稲門会の皆様

とのご縁を積極的に深めていきたい気持ち

です。

明日の創造の為に、乾杯したい気持ちです。

乾杯すると、美味しくなります。

お気軽にお声かけいただければ幸いですの

で、今後とも宜しくお願い致します。

 

貴方のお話に心から乾杯いたします。乾杯!

ありがとうございました。

 

西平酒造株式会社 佐野 仁美

住所:〒894-0012  鹿児島県奄美市名瀬小俣町11-21

電話 : 0997-52-0171  FAX : 0997-52-3006

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