「極東に於ける集団安全保障機構」は危険な構想
石破茂氏がアジア版NATO等と云うものを提唱しています。一体、どのような有用性があるのか分かりません。
例えば、我が国と韓国は、北朝鮮の核開発への対処では、或る程度は提携出来るかも知れません。韓国の中国に対する認識は、我が国とは大きく異なっています。韓国は、我が国ほど、海域や島嶼が中国の脅威に晒されているわけではありません。また台湾に関しては、韓国は全く冷淡、無関心です。
また韓国は、古代から日清戦争後迄の長い間、支那と宗属関係にあったことから、現在でも、支那に靡こうとする事大主義的な観念が底流としてあります。
モンゴルは親日的な国であり、西側諸国との関係を強めようとしていますが、一方では、ロシアとも密接な関係にあります。先日、モンゴルが、国際社会からの批判を浴びながらも、プーチン大統領の来訪を受け入れたのもその表れです。
安全保障環境が異なる国、安全保障に関しての認識、危険国家への認識が異なる国を含めて集団安全保障体制などを設ければ、危険国家に対する防禦力が強化されるどころか、逆に防衛の足を引っ張られることになります。
我が国の危険国家への対処は、日米同盟を基軸とし続けるべきです。台湾に関しては、何らかの形で、日米安保体制と、台湾とアメリカとの安保協力関係との融合を探るべきでしょう。
台湾以外の国とは、利害が一致する個別の案件ごとには提携しても、包括的な集団安全保障体制は形成すべきではありません。
若し極東に於ける集団安全保障機構の設立が具体化しますと、中国が加入を摸索するのは目に見えています。中国は拱手傍観せずに、入り込んで乗っ取ろうとするでしょう。現にTPPには、入り込もうとしています。
極東に於ける集団安全保障機構に中国が入り込んだ場合、我が国はじめ加盟国は、軍事的に中国から強い拘束を受けることになります。極東版のNATOではなく、極東版のワルシャワ条約機構になってしまいます。ハンガリーやチェコスロバキアがソ連を中心とするワルシャワ条約機構軍の軍事侵攻を受けたように、中国が韓国などを従えて、我が国を袋叩きにする事態も想定されます。
極東に於ける集団安全保障機構の形成は、日米安保を弱体化させ、我が国の防衛力の低下させ、それどころか、中国の侵略を自ら招くことになりかねません。