
このカテゴリーも久しぶりですね


『蒼路の旅人』
上橋菜穂子 著 新潮文庫
民族学者である著者が描くこの物語。
児童書としてが始まりだと思うのですが、完全に児童書の域を超えています

用心棒をしながら生きるバルサを要に物語が進んでいく『守り人』シリーズの7作目(タイトルとしては6作目)。
1作目『精霊の守り人』でバルサと旅をした新ヨゴ国の皇太子チャグムが要となり、あと3作を残すのみとなったこのシリーズのラストスパートとなるのがこの『蒼路の旅人』です。
15歳となったチャグムが自国の危機と向かい合います。運命を切り開こうとするチャグムの選択と、彼を見守る大人たち。
チャグムの清廉さ、幼さゆえの危うさにはらはら。
彼を見守る大人たちの想いに心がぎゅっとなります

このシリーズ自体はもうすでに完結していますし、続きを読もうと思えばすぐに読める環境にあるのですが私は文庫になるのを楽しみに待っています

著者の上橋菜穂子さんの本職は民族学者さん。
大学教授さんなんです。
民族学者さんが描く異世界はもはや異世界ではありません。
様々な国のカタチを知り尽くしている方なので、描くその世界が本当に立体的なんです。
文章の至るところにその国の生活感が溢れているからだと思います。
そして、その国で暮らしているからこそ「この人」がいるんだという説得力があります。
登場人物ひとりひとりに「厚み」がある、と言うのかな?
内容のカテゴリーとしては「ファンタジー」になってしまうのでしょうが、私はそうは読みません。
いま、ここにある物語だと思わずにはいられない作品です。