評価 クソ特撮
得点 評価に値しない
・仮面ライダーシリーズ50周年記念作品。銭湯の跡取り息子の青年である五十嵐一輝が、彼にのみ認識されている悪魔バイスと契約し仮面ライダーとして戦うことになるというあらすじ。個人的には期待値は非常に高かったが、結果は見事に期待を裏切り、それどころか特撮でも類を見ないレベルの超駄作へと堕ちてしまったように感じられた。
不満点はこのような所。
①キャラの扱い方がお粗末
・本作の致命的な問題点として挙げられるのが、キャラクター描写である。主要人物である一輝はは家族思いな面以外はかなり浅く印象に残らないキャラ付けの弱さで、後半から扱いが雑になったり頭がおかしくなって敵対する大二、ヒステリックな言動を取るようになるさくらとアギレラ、意味ありげな存在感を出していた割には本編で道具の製作要因にしかならなかったジョージ狩崎、印象がないにもかかわらずなぜか仮面ライダーになった牛島光等、その他のキャラの描き方もマイナスの側面を押し出したものとなっている。このような扱い方の酷さやキャラの悪さを見ればあの「仮面ライダーキバ」を彷彿とさせるが、あちらは物語後半で印象が良くなるようなキャラもちょこちょこ居るのだが本作ではそのような株の上がるような人物は全くと言っていいほどいない。よってキャラ描写の劣悪さはシリーズでもワースト1とも言えるだろう。(一応強い信念と正義感を魅せるヒロミ、悪役としての矜恃を感じられたオルテカ等のマシだったキャラもいたが。)
②支離滅裂で不愉快なストーリー
・ストーリーに関しても致命的な出来栄えである。序盤で悪魔との契約、家族の絆といった重要な要素を提示しておきながらそれらを回収することはほとんどない。ゲスト回で無駄に尺を使ったりアギレラとさくらの仲良しからの百合展開に走ったり、大二の敵対化に長々と時間を費やしたりとヘイトを貯めさせられる退屈で不快な展開がひたすら続く。また、Vシネマ視聴を前提とする設定の話が出てきたりするがそれが本編とほとんど関係が無かったり、キャラの関係性や物語の背景と悪魔の誕生について掘り下げなかったりとメインと番外どちらの脚本軸も崩壊しており、ストーリーの形が崩れているのが最大の欠点とも言えるだろう。
③肝心の仮面ライダーの戦闘や見せ場の作り方が雑
・歴代のライダー作品には見せ場になる戦闘や印象深いバトルシーンが必ずと言っていいほど存在していたが、本作ではそのような盛り上がり所は全く見られない。アクションシーンは序盤こそスタイリッシュでダイナミックな場面が多く盛り上がったものの、パワーアップ形態の登場以降や2号ライダーのライブ(エビル)の戦闘シーンはどれも印象に残らず微妙な動きでいまいち印象に残らない。また、ライブの強化形態であるホーリーライブに関しては特に酷く、初陣以降ぼろ負け続きで見せ場が全くない状態となっている挙句、物語後半では実質欠陥フォームというレッテルを貼られてしまっている。一方でジャンヌも戦闘シーンがそこまで盛り上がらない一方出しゃばりだけは無駄に多く、後に仮面ライダーになるアギレラとセットで合わせて優遇されていた割には戦闘シーンが微妙でシチュエーションも盛り上がらないというゴリ押しとカタルシスのなさによる苦痛を味わう羽目になる。このようにバトルシーンの迫力や盛り上がりのなさも物語の悪さに追い打ちをかけてしまっており、この作品を見ることの虚無感と脚本家の悦の2つを合わせた最悪なマッチポンプとなっている。
擁護すべき点は見当たらないので割愛…と言いたいところだが敢えて評価点を挙げるならこのような所か。
・バイスのテンションの高さはそこそこ面白い
・序盤の三兄弟の掘り下げ話や物語の謎を巡る展開展開は面白い
シリーズの50年を祝う記念作品のはずが50年の歴史の面を汚す最悪のゴミカスに成り下がったことに遺憾の意を表明せざるを得ない。他人に決して進めてはいけない。