私は、自分の目が開いていることに気付いた。
いつから目覚めていたのだろう。
普段寝ている自宅ではない。なにか特殊なベッドに寝転がっている。
姿勢的には、ベッドの上半身側が半分ほど持ち上がっている。
そのため、室内を見渡せた。
眼鏡がないのか、部屋の様子はよく分からない。
だが、病院のICUのようにも見える。
まさか、そんなはずはないだろう。
手足は少しも動かない。
だが、特に何かで拘束されているようには見えない。
それなのに、体中どの部分も動かせない。
見渡す限り、時計はないようだ。
建物の外を見る窓もない。
だから、今が昼なのか夜なのかも分からない。
いつからこうなっていたのか。
そもそも、今の季節はいつなのだろう。
これが夢だとしたら、夢を見る前、つまり寝る前のことを全く思い出せない。
社会人になって、そろそろ一〇年になるということは分かっている。
だんだん不安になってきた。
ICUのように見えるのは、何か実際に手術をする部屋なのかもしれない。
私が小学六年生の時に、腕を折って入院したことがある。
確かに、その場所と似ているような気がする。
また、心電図のような音も聞こえる。
手術されるのは、私? これから手術が開始される?
それとも終わったところか?
もしかして、今の私は、何か反社会的な組織に拘束されているのではないだろうか?
仮面ライダーの第一話のように、悪の組織に閉じ込められて、恐ろしい手術をされた?
この身体の動かなさも、いわゆる“人体実験”をされたのではないだろうか。
それはつまり、こいつらもショッカーと同等の者たちなのだ。
間違いない。
“悪の秘密組織”、実在したのか。
そんな考えで私を拘束しているなんて、まったくの勘違いだ。
私はただのサラリーマンだ。
その事実がこの組織にバレたら、私は失敗作として捨てられる。
それは怖い。
なんとか誤魔化さねば。
私の正面に、手術服を着た六〇代ほどの男性が現れた。
この組織の死神博士だろうか。
表情は笑顔。
私に声を掛けたが、その男性が何を言っているのか、聞く気もなかったし、答えようともしなかった。
答えたら答えるだけ、勘違いだとバレてしまう。
この状況で、最も気になるのは、家族のことだ。
一緒に暮らしている妻や息子たちは無事なのだろうか?
私は一歩も移動できない。ここがどこかも分からない。
家族とどれくらい離れているのかも分からない。
まだ普段通りの生活を続けているのか、それとも私のように監禁されているのか、それも分からない。
強烈な不安。
もしかすると、愛する家族は、すでに死んでいるのかもしれない。
息子たちはまだ幼稚園児だ。
私が確認出来ないから、無性に愛おしく思える。
自分を不甲斐なく感じた。
ただ、そういった不甲斐なさとともに、もうどうでもいい気持ちも湧いてきた。
何もできないのだ。
妻子には申し訳ないが、私はもう、速やかにこの世から去りたい。
もしかすると、現実には私の思考が何十年、何百年も停止していて、私の知り合いなどすべて死んだのかもしれない。
そうであれば、その方が良い。
それなら、もう放っておいてくれ。
現在からの振り返り
始まりました! というか、私が勝手に始めたんですけど。
これからお話しするのは2020年2月22日土曜日からの出来事です。
それからちょうど5年後の今日から、このストーリーをお話ししようと思います。
元々、入院し初めて一年後からブログを書きはじめました。
最終的には本にしたいと思っていましたが、出版会社から声が掛かることはなかったですね。
そこで、自費出版を検討していました。でも、もろもろあって上手くいかず、結局、みんなに伝えるためには自費出版ではなくて、このYouTubeが良いかなと思いました。
このYouTubeは、出来れば毎週続けたいんですが、どれくらいの頻度になるのか自分でもよく分かりません。
そもそも、本当に最後まで続けられるのか、自信もありません。
直接の知り合いや、ブログを見てた人は、これからのあらすじを知っていますけど、YouTubeから見始めた人は、これからの状況を順番に知ってもらうと、さらに楽しめるかもしれません。
それくらい、入院当初の私はどん底気分でした。
その他にも様々な巨大なトラブルを感じていました。
そこも、これからお伝えできればと思っています。
この企画をやろうと思ったことの中に、同じような症状を抱えている人たちや、その家族に対して、似た奴がいるんだなと思ってもらいたい想いがあります。
良ければ、いいねをしてくれたり、コメントしてくれたらうれしいです。
この文章は、ブログにも載せていきます。いろんな方法でお伝えしようと思っています。
最後までよろしくお願いします!
さて、先ほどお話しした病院の話は、おそらくICUにいた時のことだと思います。
五~六〇代くらいのナイスミドルな男性が、私の近くに来て、笑顔で話しかけてくれました。
今考えると、その笑顔は、私の恐怖を和らげようとしてくれていたんだと思います。
ただ、まぁ正直なところ、それが私の夢だった可能性はありますね。
本当に、現実なのか、夢を見ているのか、サッパリ分からなくて、怖いことをされているわけじゃないのに、分からな過ぎて怖かったし、もう嫌でしたね。
この動画の一番最初に載せたこの写真は、病院に担ぎ込まれる数時間前に、道を歩いていて窓ガラスに映った自分の写真です。
私はこのことを、ほとんど覚えていません。
私が入院することになったのは、脳障害になったからです。
脳障害になって、私は現実離れした世界にいました。
仮面ライダーを想像したのも、私が元々そんな性格だったってわけではなく、せん妄という状態に陥っていたからです。
よくある例え話として、お酒に酩酊した時のような症状ですね。
例え話と言っても、実際に脳内で起きている状態は、同じなんだと思います。
今考えると、それを覚えてて、それをこのYouTubeに挙げていることが、ホント良かったなと思います。
では、また次回をお楽しみに!



