「新しい彼氏ができました」
S子はそう言うとニッコリ微笑んだ

S子と僕は5年前から交流がある
S子が短大卒の新人ながら
ウチの担当として配属されてきたのだ

当時から、僕らはよく話をした
仕事の話だったり
世間話だったり
笑い話だったり
時には、叱ったりもした

「得意先と営業」
その関係性に今も変わりはない

「前の彼氏は私のやる事に
    いちいち制限つけるくせに
    自分は言われると怒って…」

ふっきれているのだろう
S子は明るい表情のまま語り続けた

「それでクリスマスの前に
    もうダメかなと思って、スパッと別れて
    新しい出会いを探したんです」
    S子の表情に迷いはない

僕はどこで出会ったのか聞いてみた…
「えっ  ヤリコンですよ」

「だって4ヶ月もしてなかったんですよ」
   ドヤ顔で鼻息を荒く語るS子

僕の働く業界は完全な男社会で
セクハラ、パワハラ当たり前の業種
精神的にタフでなければ生きていけない

5年の歳月はS子を
大きく成長させていた
しかし、あきらかに仕事とは
違う方向のタフさを
彼女は身に付けていたようだ

「今度の彼氏、童貞だったんですよ
    だからいろいろ教えてて」

S子は美人ではない
どちらか言うとブサイクと呼ばれる
顔立ちをしている

だからこそ
今まで怪しい空気にもならなかったし
気を使う事もなく話せたし
性的な対象として考える事もなかった

が、S子が童貞の彼氏に
いやらしい手ほどきをしているのを
想像したら…
チ〇コがかたくなっていた…

完全なムダ勃起…
必要な時は役にたたず
こんな時に立ち上がる…
もったいねぇ……

僕は自分の身を呪った
そして悟った
手玉にとられている事
立場が逆転した事を…

「おまえはアホか…」

自分の言葉が自分に帰ってくる
アホはおまえだ

完封負け
チ〇コかたくしたオッサンが
何を言ってもムダである
I'm a loser.

次回からはS子様と呼ぶようだ…
ああ来月どうしよう
居留守でもつかうかな

おしまい