こんにちは、新米診断士です。今回は企業診断実習2回目のお話しその2です。前回は2回目の実習先としてカフェになったところまでお話ししました。さて、どうなることやら。

 今回のインストラクター役の講師の方は、前回と違い、かなり厳しい印象です。ビシバシ足りないところを指摘され、実習が始まる前段階からメンタルがやられそうな予感がひしひしと・・。見事にその予感は当たることになるのです。

 宿泊先は駅前のちょっと豪華なビジネスホテルです。ホッとしたのは、ここには喫煙ルームがしっかりと完備されていたことです。これだけで精神的な支えになります。そして班のミーテイングルームを借り切って1週間以上滞在するのです。前回と同じように企業の幹部の方達へのヒアリング、現場確認をし、その後ホテルに戻ってミーティングが始まります。そこで初日から鬼インストラクターの攻撃がさく裂します。

 まず、診断でのアウトプットを一定レベル以上のものにするという方針のもと、企業の課題を抽出するまでのロジックの立て方、考え方について徹底的にダメ出しされます。ここに勉強に来てる人たちは既にある一定レベル以上の論理的な考え方ができる人たちなのですが、その人たちですら、ぼこぼこにやられます。もう2~3回やられたら普通なら精神的にまいっちゃって、「もう行きたくない!」なんてことになりかねないと思うのですが、そこはさすが診断士を目指す人たちで、なんとか耐えてます。私は副班長という立場だったので、ある程度責任があるのですが、怒られ役は班長が一手に引き受けてくれます。ほんとに申し訳なかったと今でも手を合わせるほどです。通常であれば初日の幹部の方達へのヒアリングを終え、全体の方針をさらっと確認できたら、あとは担当グループごとに作業に入るのですが、今回は勝手が違います。まず全体の方針を決めるところからつまずき、冒頭のようにぼこぼこにやられるのです。結局ほとんど進展のないまま初日のミーティングが終わったのが11時を超えていました。ここから一念発起してモチベーションも上がり、作業もサクサク進んでいくっていうのが理想なのですが、今回の実習ではそんなことも起こりません。ただただロジックの立て方で2~3日を費やすのです。もう部屋の中の空気の重さに皆頭をテーブルにくっつけるほどになってます。見えない空気の重さにやられてます。ある人は寝てるのかと思うほど目をつぶってます。皆ことばを発するのでさえはばかられるような感じです。おいおい大丈夫かこれ?てな感じです。

 しかし、このような状況において、我々に一筋の光明が見えます。ミーティングの際中でも私はもう一人の喫煙者(2回目の実習でも1人喫煙者がいたのです♪)とホテルの喫煙ルームにタバコを吸いにちょくちょく行くのですが、3日目くらいの時に、なんとその鬼インストラクターがやってきたのです。もう我々は蛇ににらまれたカエル、マングースににらまれたハブ、コモドドラゴンににらまれたインパラの子、ジャイアンににらまれたスネ夫、言い出したらキリがない位緊張が走ります。ですがですが・・意外とにこやかに世間話が始まります。?案外怖くない?我々は調子に乗って冗談まで言うほどになります。・・このことがあってから、とたんに鬼インストラクターが鬼に見えなくなりました。やっぱり人間話すことが大事ですね(笑)しかし他の非喫煙者にはこのことがわかりません。?なんでアイツラキュウ二ナカヨクナッテルノ?な感じだったと思います。我々喫煙組は最悪の事態は免れたと安心していましたが、そうは問屋が卸しません。やっぱり仕事になると鬼インストラクターに変貌します。自尊心の崩壊が始まって、いや崩壊が終わって“無”になりそうな一歩手前位でなんとかとどまっている感じです。鬼インストラクターがいなくなれば、そこはもう新橋の居酒屋か!っていう位メンバー同士の愚痴大会が始まります。もう宴会騒ぎのようです。ある意味最も“同志感”を感じることができた班だったかもしれません。
 
 そんな実習もなんとか最終日を迎え、企業様への発表も滞りなく行うことができました。その企業様のビルから1歩でて外の景色を見た瞬間、これまで感じたことがない位の開放感を味わうことができました。後にも先にもあれ以上の開放感は感じたことがありません。涙がでる位でした。そして実は、この最終日を迎える頃には、メンバー全員が、鬼インストラクターに対して心服していました。なんだかんだ自尊心崩壊するほどダメ出しされたけど、それが全て俺たち、私たちの血肉となったよね、的な。そうなんです、診断士となった今も、あのとき鬼インストラクターからしごかれた内容は、現在の仕事に大きく影響していて、現在の私の得意分野も飲食業界となっているのです。そして今も私は、あのときの鬼インストラクターに感謝しています。結局、それ位しごかれて、自分の足りない頭で真剣に真剣に考えて、理解して、自分で答えを探す作業は、知らず知らずのうちに自分を鍛えてくれていたのです。それをメンバーの大半が感じていたんですね。今回のこの鬼インストラクター班は、のちに同期生全員から「〇〇組(講師の名前)」の出身ということで一目置かれるようになります。ある意味伝説の班でした。

 すみません、これを書いてると当時のことがフラッシュバックしてきて、ついつい感情的に長々と話してしまいました。まあ、それだけインパクトが強かった出来事だったと思ってください。ではではまた、次回。