つぎの決心。
日本の小劇場界において、まずチケットノルマはデフォルトです。
もちろん日々大勢の方々に観て欲しいと願って止みませんが、しかしそれが俳優の責任となれば大変です。
映画や舞台は多くのスタッフがそれぞれ専門スキルを持ち寄って生み出される総合芸術です。俳優は俳優の専門スキルをトレーニングする時間が必要だからです。
たとえばボクサーが、セコンドやプロモーターを兼ねるのは困難なのです。
その中で知り合いに、舞台ではフリーで活動している女優がいます。
いつも才能ある集団 (劇団) を見つけてはオーディションに臨み、そして合格しています。
そのうえ彼女へは大勢のお客さんが応援してくれているので、小劇場のなかでは驚かれ、そして毎回行った先の劇団では大変喜ばれるそうです。
ところが。
彼女にメインの役はけっして回ってきません。
劇団員が演じるからです。
しかしセールスだけでなく公演を観る限り、彼女の存在は圧倒的なのです。だからこそ、たくさんの応援を得ているのだとは思います。
個人的には俳優としてチケットノルマについて疑問を感じているひとりですが、だからといってチケットをたくさん売る女優を便利に扱って良いとは思いません。
良い舞台を作るのは大変に難しいものです。
チケット販売数でキャスティングされているような作品を観て、何度もがっかりさせられてきました。舞台のライブの可能性を痛感しているからです。
それでも。
なんだか、いつまでも心のもやもやが晴れない時間を過ごしていました。
そして、ある決心をしました。