俳優は一般的に、職業とは認知されていないことが多い。
ちなみにぼくが言っている職業とは、ほかに兼業もなく、永(なが)きに渡ってじぶんの家族をじゅうぶんに守れる仕事であること。
もちろん、だれもが知っているスターは最初から別だろう。
かれらでさえほとんどの場合、映画やドラマだけで生活しているわけではないが。
しかしそこまでいかなくても、俳優業はれっきとした職業である。
わざわざここに書くのは、理由がある。
難しいのは、ここほど需要と供給の崩れた世界はないということだ。
たいていは、若いうちのいい経験くらいにしかならない。
それは残念ながら、疑う余地もない。
趣味でやっている俳優もいるし、仕事としては考えない俳優もいる。
聞けば、みんなプロになりたいと応えるのに?
つまりは、いきなりハードルがあがるからだ。
それが悪いことだとは、微塵(みじん)も思わない。
しかしプロになるのが当たり前だとじぶんで考えていても、意外とまわりの同業者は別のスタンスでのぞんでいたりする。
スタッフにはその違いが判らない。
きみが若ければ、もっともっとだ。
そことの違いを内外へアピールする必要がある。
ぼくはひとつの仕事に一喜一憂しない。
もちろんいつでも最新の仕事に全霊をこめ、現場の期待値をはるかに上回る必要はあるが、バタつきはしない。
口に出すことはいつでも、長期的なビジョンで話をしている。
感情的になるのは、狙いがある。
まわりもスタッフも、一緒に学んでいる同業者でさえ、信じきれるものがあまりにも少ないから。
ただ。
だからといって、これ一本でやっていくビジョンにたいして一瞬でもリアリティーを失ってはならない。
チームとして、同じメンタルで進めて行かなければならない。
もしいつかぼくにそれがなくなったら、きっとそのときが引退のタイミングだろう。
この業界は本当に生き残るひとはすくない。
だからといって、それが当然だと慣れてしまってはダメだ。
どの世界でも最後に残るのは、準備をし、最期まで信じられた人間だけだ。