ベテランのシンプルさ | 渡部遼介オフィシャルブログ「Ryosuke’ Note」powered by アメブロ

ベテランのシンプルさ

初めて演技を教えたとき、ぼくはじぶんが用いたさまざまなメソッドを披露(ひろう)しました。

現場でのテクニックだけではなく、共演者や小道具との関係性、シーンの読み取り方、役作りへのアプローチ……。

ほとんどのひとが、とても熱心に聞いてくれました。

とくに質問もありませんでした。


ところが、次回再会してみると、だれもなにも覚えていないのです。

一生懸命にメモをしていたひとは、聞かれてから慌ててノートを取り出しました。




そこでぼくは、じぶんが当たり前だと思っていることから始めなければならないことを痛感しました。



ひとは難しいテクニックを知ると、なんだか勉強したような気になります。満足します。

しかし、当然のことながら、それで演技がうまくなるわけではありません。






これはFX(エフエックス;外国為替証拠取引)の画面です。

一番上のグラフ(ローソク足)以外はすべて、インディケーターと呼ばれる判断を助ける材料です。

最初は、何百何千とあるこれらを試してみます。


なにか絶対的なサインがあるのではないか?


おびただしい数のこうしたツールを並べ検証し、組み合わせ、才能あるものはついに自作します。

しかし、聖杯(せいはい)と呼ばれる、100%の、そんなものは存在しません。

あればとっくに売買が成り立たず、機能不全に陥(おちい)っているはずです。

ちなみにぼくは、2つだけに落ち着きました。

勝っているほかのおおくのかたを調べても、どうやらいっぱい表示すればいいわけでもなさそうです。



演技も、じつはとてもシンプルだと思っています。

しかし、苦労してきたぶん、さまざまな前提を持ってお話してしまっていることは確かです。

その点は、反省せざるをえません。

しかし、ベテランが最終的に単純なアプローチをしているからといって、初心者が簡単だと断ずることはとても危険です。

もしほかの分野で、すでに同じような経験を持っているひとならすぐに気がつくでしょうが、そうしたある意味一周をしてこないと、じぶんにあった方法がいつまでたっても判らないものなのです。


講師の立場でこんなこというのもなんですが。


つまり、延々(えんえん)と他人から習っているばかりでは成功はおぼつきません。

定められたエリアでも、そのなかで、じぶんのルールを確立すること。


あなたの能力を最大限に発揮する方法は、絶対に、あなたにしか判りません。