唯一の方法 | 渡部遼介オフィシャルブログ「Ryosuke’ Note」powered by アメブロ

唯一の方法

共演者のいる舞台では、お互いに頼れることこそが重要だ。
いやだれひとりいなくても、大道具小道具その他のイメージに身を預けられることが存在し続ける唯一の方法であることは、多少経験のある役者であればみな感じていることだ。

それなら何故、そうはしないのか?


オーディションのときには、いくつかの台詞をもらう。相手役はAD(アシスタントディレクター)などがしてくれる。

正直に言って、無対象でやったほうがよっぽどマシだ。これは批判ではなく、相手役に良くも悪くも影響を受けるのがいい役者だし、そもそもADは台詞を言える必要がないのだから。
海外に揉(も)まれてきた監督はそうした場へ、向こう同様、専門の俳優を連れてくる。または少なくとも、俳優同士を絡(から)ませる。

舞台では基本的な台本の読解力(どっかいりょく)、演技の上手下手以外にも、作り方自体に千差万別(せんさばんべつ)がある。
ジャッジがそれを見逃していると、すれ違いが頻繁に起こるし、感性の優れた演者ほどその弊害(へいがい)が大きくなる。

その後も放置していれば、やがて自衛(じえい)することを考えるようになる。誰も守ってはくれないのだから。

その上で冒頭(ぼうとう)の台詞を、もし言われたら。


それは出来ないんじゃなくて、みなやらないんだ。動物園の檻(おり)に入れられた虎(とら)に、なぜ自然の振る舞いをしないのだと諭(さと)してみても、きっと彼らは首をすくめるばかり。

今回は、そうしたことが少なかった。