【そもそも慢性痛とはどういう状況か?】




今回は、最近いらしたクライアント様の症例で、「慢性痛の緩和」の話です。



ご紹介で、坐骨神経痛を2〜3年前から患っているという60代半ばの女性の患者さんがみえられました。腰からお尻、ももの裏から膝辺りまで痺れや痛みが常に続いているという症状です。



レントゲンで、腰椎4〜5番が狭くなっているという診断を受けて以降、整形外科や整体院に行っても治らないということでした。しかし、趣味でバドミントンはやってるし山登りもできるし、かなり活発な活動ができる身体レベルではあります。でも、痛みが取れずもっと色々やりたいことはあるのにやれないという現状でもあります。




結論からいうと、その症状が一回の治療でなくなり、その後も快適な状態は維持できているとのことです。



お断りですが、ここで行なった治療が特別だったり、何かのアピールしたい訳ではありません。



なぜ2年以上治らなかった坐骨神経痛がすぐに良くなったか?をどう紐解くかによって、今現在、慢性痛が気になっている人たちのヒントとしてもらえればと思います。





まず、慢性痛の定義ですが、以下のように2020年に国際疼痛学会にて改訂されました。



「(痛みは、)実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」

(国際疼痛学会より抜粋。詳細はそちらをご覧ください。)



これを呼んでもいまいちイメージがしにくいですよね。



例えば、どこかを擦りむいたり捻挫をして腫れ上がれば、なんで痛いのかは分かりやすいですよね。擦りむいた傷が治れば痛みはなくなるし、捻挫して損傷した靭帯が治れば痛みはなくなります。



しかし、慢性痛は、検査しても治っているのに、痛みだけが残り続ける状態です。しかも、長い期間ずっと。



先程の定義によると、「感覚かつ情動の不快な体験」とあります。



つまり、「傷が癒えても、脳に痛みの感覚を送る神経のスイッチや伝達にエラーが起こって強くなっていたり、それを受け取る脳が過敏になって少しの痛みの伝達でも受け止めてしまっている。また、それはその時の情動や感情によっても変わる。しかし、まだよく分からない部分もある。」



と理解すれば良いと思います。実際はもっと様々な要素も挙げることができるし、痛みの解釈は人それぞれなので、どれが正解ということはないですが、多くの医療従事者は慢性痛の方に対してこのような感覚ではないかと思います。




話を冒頭のクライアント様に戻すと、その「感覚」の部分が治療によって変わったのだと考えています。




慢性痛の改善を考える時、


大枠として、


◯バイオメカニクスの問題(姿勢や動作など)

◯モーターコントロールの問題(筋肉の収縮感や伸び感、皮膚の感覚など)

◯内科的問題(自律神経系、内分泌系、消化器系、血液循環や呼吸など)

◯心理社会的ストレスの問題(家庭、仕事、学校など)

◯パーソナリティの問題(性格、人生経験など)

◯その他の問題(栄養、睡眠、筋肉量など)



があります。


「感覚」の一端は、「モーターコントロール」の部分に入ります。


今回のクライアント様は、行なった評価の結果、その部分に強く問題が出ていました。



なので、他にもアプローチをしましたが、主にお腹をソフトに触っているだけで痺れと痛みがが抜けてきてきました。



そして、最後には、「痺れも痛みも全然なくなった!」とおっしゃるくらいになりました。これは、お腹を触ることで皮膚や筋肉の感覚(モーターコントロールの問題)、また血流が変わってきたこと(内科的問題)が痺れと痛みの消失に繋がったと考えられます。




慢性痛が治らない方にとって、ここからが大事です。



想像してほしいのが、


例えば、この方に

「家庭でも主人は何も家事も手伝わないは文句ばかり言うわでストレス満載で、職場でもパワハラとも取れるようなストレスが満載(心理社会的ストレスの問題)で、ストレスで爆食いしてしまう(その他の問題)し、普段運動も何もしていない(バイオメカニクスとモーターコントロールの問題)」

という別の問題があれば、


お腹を優しく触るだけでは痛みは取れず、もっと色々とやらなければならないことが増えるということです。



例えば、運動不足であらゆる感覚低下や循環低下している場合はエクササイズやウォーキングをした方が良いし、食事に問題があり、体内に慢性炎症や酸素不足が起こりやすくなっているなら食事療法をやった方が良いでしょう。家庭や職場のストレスは、その受け止め方やストレス解消法に変化をつけるか、環境を変える必要すらあるかもしれません。




このように、慢性痛に対しては一つ一つ紐解いていけば、長年の痛みが案外あっけなく改善するのとがあります。



しかし、今回のクライアント様のように一回の治療で全てが解決することは少なく、数回のセッションが必要なことが多いです。その数回が何回になるかは、その方の「パーソナリティ」の部分に大きく依存し、柔軟な思考法を持っていると治りやすい傾向にあります。このことは、経験則になりますが、まず間違いないと思います。



もちろん、慢性痛の解決方法として、色々な考え方があるので、これのみが正解と思わないでください。色々な考え方を肯定しつつも、問題が解決できない時には何かに立ち返る必要があるので、その立ち返りの場所として考えていただけたらと思います。


〈例えば、運動による慢性痛改善の必要要素として、立位での屈伸動作でハムストリングスや臀筋群が収縮する感覚を得られることが望ましいです。ただ、その使っている感覚を得ることが何か問題を抱えている方にとっては大抵難しい。この部分は、「バイオメカニクスの問題」でもあり、「モーターコントロールの問題」でもあります。他の要素も考慮しながら、運動面ではこのようなことも含めて慢性痛の改善を目指すと良いと思います。この写真の方は、靴下の状態ですが、靴を履けば感覚が変わるし、裸足になればまた感覚が変わります。〉




以前、慢性腰痛に関して投稿しましたが、結局同じような内容になってしまいました^^;ただ、前回は、「バイオメカニクスの問題」にフォーカスした内容ということになり、多くの人がここにのみ注目してしまうことになります。

https://ameblo.jp/ryosuke76-gonzalez/entry-12664962346.html



最後までお読みいただきありがとうございました。




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