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福岡の内科外科院長のブログ

福岡の内科外科院長のブログです。医療の事はもちろん、日々のクリニックでの出来事など投稿します。

皆様、こんにちは。消化器内科外科の院長です。

胃カメラ・大腸カメラをはじめ、おなかの痛みや痔などの消化器系疾患を専門としています。今回もお腹の不安が少しでも和らぐ情報をお届けしていきます。

 

秋といえば、穏やかな気候と美しい紅葉、実りの多い季節のイメージがありますが、高齢者にとっては体調を崩すリスクが高まる「秋バテ」の季節でもあります。秋バテとは、体が夏の疲労を引きずり、自律神経のバランスが乱れることで起こる、倦怠感や食欲不振などの不調を指します。正式な医学用語ではありませんが、近年、季節性の不調として注目されている症候の一つです。

 

気温や湿度、日照時間が大きく変化する秋は、若い世代以上に高齢者の健康を脅かします。高齢者は基礎体力や免疫力が低下しているため、体温調節や急激な気候の変化に体がうまく対応できず、不調が長引いたり重症化したりしやすいのが特徴です。この記事では、秋バテの具体的な症状、高齢者が特に注意すべきポイント、そして日常生活で使える有効な対策まで、医師の視点で詳しく解説します。健康に秋を安全に過ごすためのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。

 

 

 

1.秋バテは早めの対策が必要

 

 

秋バテの症状は多岐にわたりますが、高齢者が感じやすいのは、倦怠感・疲労感・食欲不振・便通異常・睡眠障害・肩こり・頭痛・めまい・立ちくらみ・思考力低下などです。これらは一見すると夏バテに似ていますが、秋バテは回復が遅く、さらに高齢者では認知症との判別がつきにくいこともあります。

 

秋バテの最大のポイントは「体へダメージが蓄積しやすい」ことです。高齢者の場合、体温調整能力や血流が衰え、免疫力も低下しています。そのため「暑さ・寒さを感じづらい」「体の冷えや疲れの蓄積を自覚しにくい」「不調がじわじわ進行する」といった傾向があり、油断していると重症化するリスクがあります。

 

秋バテを放置すると、風邪やインフルエンザなど感染症のリスクも高まり、慢性病が悪化する可能性も。秋バテは決して軽い不調ではなく、高齢者の健康管理において見逃してはいけない危険サインです。

 

 

 

2.夏から秋への気温差と自律神経の疲労

 

 

秋バテが高齢者に多く見られるのは、加齢に伴う身体機能の低下と、秋特有の気候変動が密接に関係しているからです。人間の体は、体温や血圧、心拍などを一定に保つために自律神経が常に働いています。しかし、夏の間に冷房の効いた室内と暑い屋外を行き来したり、冷たい飲食物を摂取したりすることで、自律神経はすでに疲弊しています。

 

この夏の疲れが抜けきらないまま、日中と朝晩の寒暖差が激しい秋を迎えると、体温を一定に保とうとして自律神経にさらなる負担がかかります。高齢者はこの体温調節機能そのものが衰えているため、わずかな気温差でも自律神経が過剰に働き、バランスを崩しやすくなるのです。

 

さらに、秋は台風や移動性高気圧の影響で気圧が目まぐるしく変動します。この気圧の変化も自律神経に影響を与え、頭痛やめまい、倦怠感といった「気象病」を引き起こす一因となります。

 

特に、加齢により体温調節機能が低下している高齢者は、血行不良による「冷え」を感じやすくなります。内臓が冷えると消化機能が低下し、食欲不振や便秘につながります。また、全身の血流が悪くなることで、肩こりや腰痛、さらには免疫力の低下を招き、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるという悪循環に陥ってしまうのです。このように、自律神経の乱れと身体機能の低下が複合的に作用することが、高齢者の秋バテを深刻化させる大きな理由です。

 

 

 

3.秋バテを悪化させる生活習慣例

 

 

秋バテが起こりやすい高齢者の日常には、特徴的な生活習慣があります。

 

- 暑い夏の間に冷房の部屋で長時間過ごし、冷たい飲み物・食事を多く摂って内臓が冷えている

- 日中に動く機会が減り、運動不足で筋力が低下

- 食欲が低下して栄養が偏り、タンパク質・ビタミン・ミネラルが不足

- 早寝早起きのリズムが崩れ、不眠や浅い眠りが続く

- 朝晩の寒暖差に対応せず、衣服の調節を怠っている

- 水分摂取量が減り、脱水気味になっている

 

これらの日常的な習慣が重なると、秋バテの症状が重くなり、回復も遅くなります。特に高齢者は「ちょっとした不調だから大丈夫」と自覚なく放置しがちですが、こうした軽い症状のうちから対策することが大切です。

 

 

 

4.医師が教える秋バテ予防と改善法

 

 

高齢者の秋バテ対策の基本は、「体温管理」「栄養バランス」「生活リズム」「適度な運動」です。

 

- 部屋の気温や湿度に合わせてこまめに衣類を調整する。カーディガンやブランケットを活用し、朝晩の冷え込みには十分注意

- 温かい飲み物や汁物・根菜など、体を温める食品を選ぶ

- たんぱく質・ビタミン・ミネラルをしっかり摂る。食欲がなければ、無理に量を増やさず、栄養価の高い食品や補助食品を活用

- ストレッチや散歩など、室内外で無理のない範囲で体を動かす

- 水分補給をこまめに実践し、脱水を予防する

- 1日3食、規則正しい食事・睡眠リズムを保ち、自律神経を整える

 

また、本人や家族が「ちょっといつもと違う」「元気がない」などの異変を感じたら早めに医療機関に相談しましょう。秋バテは放置すると、肺炎やインフルエンザ、心不全や脳卒中など命に関わる病気を招くことさえあります。

特に近年は夏の猛暑の時期が長く、11月に入ってやっと秋らしい空気になってきました。

ちょうど今が、季節の変わり目、朝晩の寒暖差に体が慣れていない時期です。

「秋バテ」の危険サインに早く気づき、丁寧な健康管理を心がけることが何より大切です。高齢者ご本人だけでなく、ご家族や介護者もぜひ普段から見守りを強化してください。健康な秋の毎日が送れるよう、医師として全力で応援しています。