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福岡の内科外科院長のブログ

福岡の内科外科院長のブログです。医療の事はもちろん、日々のクリニックでの出来事など投稿します。

皆様、こんにちは。消化器内科外科の院長です。

胃カメラ・大腸カメラをはじめ、おなかの痛みや痔などの消化器系疾患を専門としています。今回もお腹の不安が少しでも和らぐ情報をお届けしていきます。

 

「盲腸になったら即手術」――そんな常識を持っていませんか?実は、医療の進歩により、すべての虫垂炎(いわゆる盲腸)で手術が必要というわけではなくなってきました。

 

胃腸内科外科の医師として福岡で診療を続けてきた私は、「手術は怖い」「仕事を長く休めない」という理由で病院を受診せず、症状を我慢している患者様を多く診てきました。しかし、症状や病状によっては抗菌薬の点滴治療で治せるケースが増えているのです。

 

この記事では、最新の虫垂炎治療について、点滴治療と手術の違い、それぞれのメリット・デメリット、そして福岡で受けられる治療オプションを詳しく解説します。正しい知識を持つことで、いざという時に最適な判断ができるようになります。

 

 

 

 1.「盲腸=即手術」という思い込みの代償

 

 

・古い常識が招く危険

 

「盲腸になったら絶対手術だから、病院に行きたくない」そう思って我慢していませんか?この思い込みが、実は重症化を招く原因になっています。確かに以前は虫垂炎の治療といえば手術が唯一の選択肢でしたが、現代の医療は大きく変わっているのです。

 

福岡市内の救急外来でも、痛みを我慢し続けた結果、虫垂が破裂(穿孔)して腹膜炎を起こし、より大きな手術が必要になったケースを多く見てきました。早期に適切な治療を受けていれば、点滴だけで済んだかもしれない患者様が、重症化してしまうのです。

 

・手術への不安が受診を遅らせる

 

手術に対する恐怖心は当然のことです。「傷跡が残る」「入院で仕事を休まなければならない」「医療費が心配」――こうした不安が、受診をためらわせる理由になっています。しかし、選択肢は手術だけではないことを知ってほしいのです。

 

 

 

 2.点滴治療という新しい選択肢

 

 

・抗菌薬治療の実際と効果

 

軽症から中等症の虫垂炎(カタル性や蜂窩織炎性虫垂炎)では、抗菌薬の点滴治療で約90%が治癒します。これは、炎症を起こしている虫垂を切除せずに、抗菌薬で細菌をやっつけて炎症を抑える方法です。

 

治療は通常、入院して絶食の上で点滴を数日間続けます。症状が改善すれば、入院期間は1週間程度で済みます。最近では外来での治療も可能な場合があり、1日1回の点滴で治療できるケースもあります。

 

・点滴治療のメリット

 

抗菌薬による保存的治療には以下のメリットがあります。

 

- 手術による体への負担がない

- 傷跡が残らない

- 全身麻酔のリスクを避けられる

- 入院期間が短い場合がある

- 社会復帰が早い

- 手術費用がかからない

 

特に、「どうしても手術を避けたい」という方にとって、大きな選択肢となります。

 

 

 

 3.知っておくべき点滴治療の限界

 

 

・すべてのケースに適用できるわけではない

 

抗菌薬治療は万能ではありません。以下の場合は手術が推奨されます。

 

- 虫垂が破裂(穿孔)している

- 膿瘍(膿のかたまり)ができている

- 糞石(便の塊)が詰まっている

- 壊疽性虫垂炎など重症例

- 症状が急速に悪化している

 

これらのケースでは、抗菌薬治療では効果が不十分で、かえって重症化するリスクがあります。

 

・ 再発のリスクを理解する

 

点滴治療で一旦症状が治まっても、約20~30%の患者様が1年以内に再発し、最終的に手術が必要になります。これは、虫垂そのものは体内に残っているため、再び炎症を起こす可能性があるからです。

 

また、治療開始後も約5~10%の患者様は効果が得られず、早期に手術が必要になることもあります。

 

 

 

 4.手術も進化している

 

 

・ 腹腔鏡手術という選択

 

もし手術が必要になっても、現在は腹腔鏡手術が標準的な治療法となっています。お腹に小さな穴を数カ所開けるだけで、傷が小さく痛みも軽減されます。

 

腹腔鏡手術のメリット:

- 傷が小さい(5~12mm程度の穴が3カ所)

- 術後の痛みが軽い

- 入院期間が短い(3~7日)

- 社会復帰が早い

- 術後の癒着が少ない

 

さらに、単孔式(へそだけの穴)腹腔鏡手術なら、傷が目立たず日帰り手術も可能な施設があります。

 

 

 

 5.福岡でどう治療を受けるか

 

 

・まずは早めの受診が重要

 

福岡市内には、救急対応可能な病院や、消化器内科・外科を専門とするクリニックが多数あります。右下腹部の痛み、発熱、吐き気などの症状が出たら、まずは早めに医療機関を受診してください。

 

・治療方針の決定プロセス

 

受診すると、問診、触診、血液検査、そして腹部CT検査などで診断します。CT検査により、虫垂炎の重症度や糞石の有無を正確に判断できるようになりました。

 

その結果に基づいて、医師から以下の選択肢が提示されます:

1. 抗菌薬による保存的治療

2. 腹腔鏡手術

3. 開腹手術

 

それぞれのメリット・デメリット、再発のリスクなどを十分に説明してもらい、自分のライフスタイルや価値観に合った治療法を選択できます。

 

・セカンドオピニオンも選択肢

 

治療方針に迷ったら、セカンドオピニオンを求めることも可能です。福岡県内の複数の医療機関で意見を聞き、納得した上で治療を受けることが大切です。

 

 

 

 6.あなたに合った治療を選ぶために

 

 

医師として強調したいのは、虫垂炎の治療に「絶対にこれが正解」という答えはないということです。患者様の年齢、病状、ライフスタイル、価値観によって、最適な治療法は異なります。

 

抗菌薬治療は手術を避けられる反面、再発のリスクがあります。手術は確実に治せますが、体への負担があります。どちらにもメリット・デメリットがあることを理解した上で、医師と十分に相談して決めることが重要です。

 

症状を我慢せず、適切なタイミングで受診することで、より体に優しい治療を受けられる可能性が高まります。あなたの健康と生活を守るために、今すぐ行動を起こしましょう。